第7話

 どうも、ヤバかったウィルク・バーチェスです。


 ひとまず魔力量については放置という事で解放された。祝福品とやらは神様からのお墨付きって事らしい。今世で久しぶりに神様に感謝した。


 ついでだしステータス画面も開いてみる。これ基本設定だと他人から見えないから空中を見つめるヤバい奴になるんだよな。


 Lv.58

 HP:3875000 MP:6385990

 STR:4810 VIT:2150 INT:6129 MND:2274

 DEX:3246 AGI:4250 LUK:2688


 イマイチLUK幸運値の伸びが良くないな。ステ上昇補助系のアクセでも着けとくべきだったかな?

 まあ今悔やんでも仕方ないので次に移る。

 

 現在セットしてるジョブが並んで映っている。

 魔神Lv.100 武神Lv.100 工神Lv.100 薬神Lv.100


 自分でもよくここまでやり込んだなとは思う。本当にこのときは狂ったようにVRゲームってだけでのめり込んでたなぁ。


 いやいや、感傷に浸ってる場合じゃない。あの女子4人組をどうするかだ。

 利益で考えれば今後も仲良くしていくべき相手。どう考えても逃しちゃならない将来の上客だ。向こうもこっちが扱う品をそれなりに欲しがってる様子だったし、取り付く島もないなんてことにはならないだろう。

 だけど問題がある。それは公爵家ということ。

 この国では公爵家は少なからず王家の血を引いている。臣籍降下で合ってるのかはわからないが、兎に角歴史的に王家と近い。

 そして王家には専用の商会がある。前世で言うところの国営企業みたいなもんで、四大公爵家を筆頭に有数の貴族や果てには国外の王族や有力貴族が主要顧客の国内1大きい商会だ。なんなら国の財務系の一部握ってるんじゃないかな。


 ともかく、そんな商会以上の何かの顧客に横から「うちの商品どうですか」なんて声をかける馬鹿はいない。そもそも売り物の質や量で太刀打ち出来ないが故にお抱えを狙って勝負を仕掛けるなんてしないのだから。

 ただ、あっちが興味を持って接触してきた場合どうなのか。考えすぎと言われても否定できないし、金のある貴族が複数の商会と取引をするなんて珍しくない。現にうちの顧客にも複数お抱えがいる貴族はそれなりにいる。しかし特殊例が過ぎる。どうしたもんか。

 

 ドツボにハマってきた思考を辞め、空を見上げる。

 空には一直線の雲が見える。無論飛行機雲ではなく、竜のブレス後らしい。確か氷系のブレスって発動後そこだけ空間ごと凍るんだよな。それかもしれない。

 あ、てか竜系の素材って希少だよな。それこそ王族商会とかですら簡単に仕入れられないほど。

 …なんでこれを思いつかなかったのか数時間前の自分に問い詰めたくなってきた。龍はともかく竜なら多少狩っても怒られないだろ。つか増えすぎて今後問題が起きそうって話が挙がってるらしいし。

 うん、ありがとうブレス雲。お陰で王国の中枢相手になんとかなりそうだ。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「それで、提案というのはなんだ?」


「簡単に言えば王族商会経由で販路を増やしたいんです。学園の方で有名どころから購入の要望が来てまして…」


「王族商会、いえ『ジェヴァン商会』と呼ぶべきでしょうな。確かにあそことの関係を拗らせるのは中々」


相変わらず読みが鋭い番頭さんに頷く。


「なので、王族商会を小売業者にさせてしまいましょう。今なら希少品どころか穀物のシェアまで握れる状態にありますから」


 こう言っておいてアレだが、恐らく穀物の方は難しいだろう。しかし希少品の方はいけるだろうと思う。に食いつく人が来店するのだから。


「今度の王女様のご来店にいるんですよね?王族商会関係者」


「ああ、それも会計責任者だ。余程国王陛下は商人と真っ当な取引をしたくないらしい」


 なるほどね。ジェヴァン商会の会計責任者ってのは上の方じゃ有名なのか。しかも安く買い叩いたり商人から不況を買ってるタイプだな。

 それならもっとチャンスになる。宝石や竜素材、そして鉱石。としては国のために安く買い揃えたい代物の筈。

 

 父に向かって言い切る。


「王国に反旗を翻すのではなく、王族とその蜜に群がる連中に商談を吹っかけるだけです。特に問題はないと思うのですが」


「好きなだけやるといい。王族商会と王族には少し痛い目に合ってもらおう」


 よし、あとはどう会計責任者とやらにこっちの話を飲んでもらうかだな。

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引継転生したんで無双します 千川 悠汰 @cat1ncarnation

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