第4話
おはようございます、ウィルク・バーチェス(8)です。
あのダンジョン攻略以降に何があったのかを簡潔に説明します。
まず父から任された契約や交渉が増えた。バーチェシズ商会から離れるのは考えてないので特に文句はない。
あ、ちなみにカトリーの雇用主は俺になった。やる事はヤった。
あとはもうすぐ学園に通う事。まあ読み書きやマナーはひと通り叩き込まれてるからそこら辺は問題ない。ただ、少し面倒そうな感じになっているらしい。
「第2王子は知ってる。勇者に聖女?なんでだよ…」
「坊ちゃんはとんでもない世代に当たっちいましたねぇ。でも将来の英雄が顧客になってくれるかもしれませんぜ」
「どうせペイラーかリーンズ辺りが後ろに付くだろ。あ、王族商会がそのまま囲うか?」
「流石に冗談ですよ。ただ、第2王子様の方は仲良くなった方がいいでしょうね」
「幸か不幸か今回の不作への対応で褒賞と御目通りが叶ったのは大きいな。向こうの心象はそれなりに良いだろうし、向こうから話しかけて来るかもしれない」
キャラバンの各荷馬車から大量の袋や樽が下ろされていく。中身は全て食糧。
帝国や教国、少し離れた公国にまで買い付けに行ってくれていた。ほんとこの商隊長は顔が広い。うちが貢献した食糧の3割ぐらいは商隊長がかき集めてくれたモノだ。
「今回はこれぐらいですか。高いですが帝国の穀倉地帯からバンバン放出してくれるお陰で小麦には困らなさそうです」
番頭がそろばん片手に購入した量を纏めていく。
「魔芋の貯蓄をしといて小麦は無いって中々すげえけどな…肉は困ってないし、野菜の方も公国がそれなりの値段で売ってくれて助かった」
「ウィルク様のお陰です。前公王陛下と国王陛下の親戚関係が周知されなければここまで良心的な値段にはなりませんでしたから」
ゲームのときの隠しクエストに、王家の紋章が入った指輪が公王家の人の遺体から発見され、それを渡すっていうのがあった。妙にNPCの会話が多いから覚えたんだよな。
「たまたまだよ。それより、来年以降は大丈夫そう?」
「ええ、過去にも事例があった不作だったらしく、既に各地で対応が取られています」
ひとまず学園入学直前に大量餓死なんて事態にはならなそうだな。魔麦の種籾をアリアさん経由で献上出来たし、やれる事はやったかな。
「ウィルク!すぐに来い」
「父さんが呼んでる。番頭さん、あとは商隊長と上手くやってて」
すぐに父の元へ走る。そこそこのスピードの維持が出来てるのはダンジョン潜った甲斐があったな。
「ウィルク、来月からは学園だ。それに先んじて色々と良くやっている。ただ、問題は聖女と勇者だ」
「何か起きましたか?」
「ああ、教国がかなり派手に動いている。勇者は王家もかなり必死にご機嫌取りをしているらしい」
たかがそのぐらいでなんで呼んだんだ?こう言っちゃなんだが父なら一枚噛んでいると思っていたが。
「ああそうだな、本題に入ろう。実は聖女が
「…ん?すいません父さん、今聖女がうちで買い物を望んでいると言いましたか?」
「ああ、その通りだ。やはり本店たる此処で接客すべきか?」
落ち着け俺。なに、前世の時に比べたら簡単…じゃない!単純比較出来ないし宗教系の相手なんて片手で数えるほどしかやった事ない。
まず聖女とはなんなのかから整理しなければ。ジョブとしては女性スキン限定の僧侶系最上位ジョブの1つ。
僧侶3ジョブをLv.70にしてなんかの魔法使い系のジョブをLv.30、40回以上
聖女って初級魔法ですら回復量が桁違いなんだけど、余りにも+VITステが少なくて安定した盾役がいない
この世界においては高位神官とかに神託が下ると生まれる特殊職だったか。性質上教国が片っ端から回収してるんだよな。
親の意思関係なしというか、なんなら教国が面倒見てくれるから喜んで差し出す事が多いとかなんとか。
「───ルク!ウィルク!どうした!」
「あ、い、いえ。少し混乱していただけです。接客は王都の方が良いかと。もしかしたら第2王子も同行させてくるかもしれません」
「ふむ…あり得るな。わかった、支店長に急いで準備させよう」
まずいな。勇者の方も纏めておかないと。
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