第1話
どうもウィルク・バーチェス(7)です。
現在僕は大人相手に値切り勝負を仕掛けてます。父のディジス・バーチェスが勉強しろという事で丸投げしてきました。
いやおかしいだろ!まだギルド登録できる10歳にも達してないんだぞ!あと上の兄姉だってまともに手伝うようになったの13歳ぐらいからだったって聞いたぞ。
失礼、取り乱しました。まあ、そんなこんなで行商と一進一退の勝負をしている訳です。
「ファングボアの毛皮と脂セットで買う!5つ全部買うから銀貨2枚でどう?」
「バーチェシズ商会の坊ちゃんとはいえそれは頷きかねます。せめて銀貨5、いえ4枚で」
「うーん…じゃあこれからファングボア以外のボア系の素材も優先的に買い取る。それでどう?」
行商は少し逡巡した後頷いた。
「それならば。これ以上粘っても坊ちゃんが商会長になった時が怖いですから」
「いや商会長は兄貴がなるでしょ」
ハハハと笑い合い、落ち着くと向こうから切り出して来る。
「時に坊ちゃん。来年から学園の方は行かれるのですか?」
学園。前世のテストプレイの時はお使い系で割りの良いクエストが受けられる場所だった。何せ通うのは貴族や金のある商人の子息、子女。金持ちがほとんどだった。
中には貧乏貴族ってのも居たらしいが。製品版のときは
ただ噂によると名前付きNPCのキャラデザがかなり良くなってたって話があった。恋愛シミュレーションゲームでも作るんじゃないか?みたいな話が上がってたな。
脱線した。うちの商会は王国内で1,2を争うって規模じゃないが、6,7番手争いが出来るぐらいの資金力はある。貴族のお客様を増やす為にも、親父は積極的に子供を学園に通わせているから多分俺も通わされるだろうなぁ。
そんな感じで行商に説明する。
「はぁなるほど。坊ちゃんも苦労されてますな」
「一応、貴族相手に商売をしておけば変なゴタゴタには巻き込まれにくくなるらしいしそんな悪いことじゃないからね」
あともう一つメリットというか学園に行く事を拒否しない理由がある。学園には難易度が幅広いダンジョンがあるのだ。確か最大難易度だと終盤ダンジョンと大差ないレベルで、一部の鍛治と木工メインのプレイヤーがよく周回していた。
とまあ少なくとも拒否する理由はない。問題はあるが。
「あ、確か学園の周りでも売買してたよね?何か情報があったら教えたくれない?」
「その程度でよければ喜んでやりましょう。坊ちゃんにはかなりの恩がありますから」
「それじゃあよろしく」
行商と別れ歩きながら
一言で言えば前世のゲーム時のステータスが受け継がれてしまっていたのだ。ついでにテストプレイから引き継いでいる気合いを入れたキャラメイクもそのままだ。
この力を遺憾無く発揮するか、隠すか。隠さないのならそれなりの面倒ごとは起こるだろう。だが多分この世界の住民相手に負ける事はない。ラスボスどころか裏ボスを周回するぐらいにはなっていたし、ステータスの分配もそれなりに考えて振ってある。
ただ力で解決できない政治や人物関係がある。そこをどうしたものか…
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