落し物2

天川裕司

落し物2

タイトル:落し物2


「はぁ〜疲れたぁ」

いつものように仕事から帰り部屋に戻った。

麦茶を飲んで一息つこうとした時、

ピリリリ!とどっかから携帯の音が聞こえた。


「ん?」と思ってよく耳をすましてみると

その音はトイレの方から聞こえてくる。

自分の携帯の音じゃない事がハッキリした時から

不安と恐怖は高まり出した。


「…え、な、なに…なんで…?」

恐る恐るトイレまで行き、ゆっくりドアを開ける。

中には当然誰も居らず、代わりに携帯電話が

便器の横に落ちていた。


ピリリリ!ずっと鳴り続ける。

出るんじゃなかった…とあとで思ったが

やっぱり人情なのか、出てしまう。


「……はい、もしもし」

「あ、すいません!その携帯の持ち主です」

「え……?」

「いや〜とりあえず掛けてみてよかったぁ」

男が1人でテンション上がって安堵して居た様子。


「あ、もしもし?携帯拾われた方ですよね?今から取りに行きますんで、携帯持って来てもらって良いですか?」


「え………」

疑問と言うか、不安と恐怖の頂点に達したような

この訳のわからない今の展開に

私は何も言えないで居た。


「…あの、携帯拾われた方ですよね?…その携帯、どこで拾われました?」


「え……。ど、どこって…」

「…もしかして…。チッ、くっそぉ〜〜。やっちまったかなぁ俺。よりによってそこで拾われたのか?」

「あ、あの…」


「……まぁいいや。とりあえず取りに行きますんで…」

私はもう怖すぎて携帯の電源を切った。

真っ暗になった画面に私の顔がぼんやり映る。

その私の顔の後ろに、見知らぬ男が立って居た。


その瞬間味わった2つ目の恐怖は、

人の気配が何にもしなかったこと。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=YnRY7-y_h_o

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落し物2 天川裕司 @tenkawayuji

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