第6話 退路を断たれる残念美少女

「え、電車が運休停止!?」


 二郎の店を出て、すこし休憩でもしようと話をしていたときだった。


 ふと開いた時刻表アプリに、警告の赤文字が浮かんでいた。


 帰りに使う路線が、電線不調の関係で運休停止になるという。


「つまり、これはどういうことだ」

「思考停止しないで。私たち、このまま他県に置き去りってことよ」

「やっぱりそうだよな……」


 現実に目を背けたかった。不運の流れは断ち切れたかと信じていたのだが。


 悪運というのは、ずるずると引きずってしまうこともあるらしい。


「タクシーで帰るってのは」

「目が飛び出るくらいの額になるよ。下手したら乗り逃げすることになるけど」

「高校生で犯罪者デビューは勘弁だぜ?」


 ならばヒッチハイク? いや、まったくもって現実的ではない。リスクもある。実現できるかはわからない。


「やっぱり、ここらで寝床を探すしか」

「そういうことっ!」


 こちとら高校生の異性ふたりである。


 ひと晩明かすのも、いささか苦労する。年齢がバレると、警察のお世話になるだろう。そうなりゃ面倒な事態だ。


「ちょっとグレーゾーンをまたぐことにはなりそうだな」

「野宿するわけにもいかないものね」

「そゆこと」


 まさか俺も家に帰れないかもしれん事態になるとは。


 内心かなり焦っている。きのうの真衣さんの気持ちがすこしわかった気がする。

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