現代日本で料理人をしていた青年リュウは、気づいたら異世界に転移していた。大衆食堂を営む老夫婦に助けられ、店を引き継いだリュウは、親を亡くした子どもや、貧しい家庭に無料でご飯を提供する「こども食堂」を開くことに。料理で子どもたちの笑顔を作る異世界グルメファンタジーです。
親を亡くした子供たちが助け合って生きる健気さと、それを見守る大人たちの優しさが泣けるんです。
リュウの安くて美味い日本料理は冒険者たちの間でたちまち話題に。店員として雇った美少女のサクヤとアオイ目当ての客もいて、徐々に繁盛していくかたわら、店を訪れる孤児たちや育児放棄された子ども、子育てに悩む若いお母さんの姿に心を揺さぶられます。
利益度外視で料理を提供する、そんなリュウの心意気に共感した人たちが支援の手を差し伸べて、助け合いの輪が広がっていく光景に心が洗われます。
どんなに辛い人生でも一杯の温かいご飯で救われる時間がある。それを糧に一日一日を積み重ねていく。街の片隅で始まった小さな輪がどこまで大きくなっていくのか、この先の物語に期待です。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)