第2話 家まで来てみた

 家まで来てみた。

 よさそうな家だ。


 勝手に入っていいのかな?

 一応声掛けとこ。


 「あのー、入りまーす」


 うん、ちゃんと言った。

 だから不法侵入じゃない、多分。


 ドアを開ける。

 ちゃんと開いた。


 広い。


 2階まであって、いっぱいドアがある。

 うん、決めた。

 ここに住もう。


 多分人もいないし。

 人いたとしたら『こんにちはー』って明るく接すればなんとかなる、多分。


 とりあえず1番近くにあるドアを開けてみる。


 おー、ベッドとかある。

 寝室かな?


 それより部屋の真ん中に誰かいる。


 下着姿の女の人。

 10代っぽい。


 うわー、顔もかわいい人だな……。


 ……って、ええぇぇぇ!?

 女の人!?

 しかも下着!?


 「す、すみませんでした!」


 反射的に声が出て、ドアを閉める。

 あと喉が痛い。


 久しぶりに大声出したからな……。

 どうしよう……。

 女の人いたし、この家には住めないかな……?


 いや、ここで逃したらいつ家にたどり着けるかわからない。

 頑張って頼んでみるか。


 「――えっと……」


 ドアが開く。

 さっきの女の人が出てきてた。

 今度は服を着ている。


 「あ、あの! ここに住ませてください!」

 「…………」


 なんで黙る?

 ……そりゃそっか。

 自分の家にいたら勝手に知らない男入ってきて『住ませてください』なんて言われたらびっくりするわな。


 じゃあ金で頼むか?

 月何円で住ませてくれって。


 でも今俺金持ってねぇわ。

 財布もねぇし。


 「……すみません、もう1回声聞かせてください」


 え、声?

 なんで?


 「え、あの……」


 なんて言おう……。

 自己紹介でもしとくか。


 「か、カナタです……」

 「……よくゲームしますか?」

 「はい、します」

 「……私のこと知ってますか?」


 いや、知りませんよ。

 誰ですか、あなた。

 言い方悪くすると、『誰だテメェ』。


 「私、『クルミ』です」

 「クルミ……」


 ……? 『クルミ』?


 「……あなたはゲームしますか?」

 「はい、します」

 「……ゲーム上で会ったことありまふか?」

 「多分……」

 「最近ゲームで負けましたか?」

 「私がとある場面で撃ち損ねたので」

 「俺も変な情報流したので負けました」

 「やっぱカナタさんだ!」


 急に抱いてくるクルミさん。

 急になんなんだよ……、別に嫌な思いは全然しないけど。


 「初めて会うの初めてですね! 見た目同じ年齢っぽいですね! 何歳ですか?」

 「17歳で……」

 「え、私も17歳です!」


 うわー……、クルミさん、意外と陽気な人だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ゲームオタクの俺が『生き抜くこと』という目標のゲームの世界に転生したら想像以上に楽しくて危なかった 楸野燕 @HisaginoTubame

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ