ゲームオタクの俺が『生き抜くこと』という目標のゲームの世界に転生したら想像以上に楽しくて危なかった

楸野燕

第1話 転生?

 「……負けましたね……」

 『……はい……、すみません……。私があのとき撃たなかったから……』


 ゲーミングパソコンに向かって言う俺。

 するとヘッドホンから女の声が聞こえた。


 「いや、変な情報流した俺が悪いんです。すみませんでした」

 『あれは仕方ないですよ……。ちょっと疲れがひどいので……、休憩していいですか……?』

 「そうですね……。ちょっと……、寝ます……」

 『では、失礼します……』


 ここから女の声が聞こえなくなった。

 俺は手に持ってるコントローラーを机に置いて、パソコンの電源を切る。


 俺は青陽あおひ哉太かなた

 今は17歳で、高校は中退になった。

 理由は成績が悪すぎて。


 赤点パラダイスだったもんな。


 さっきまで俺はオンラインゲームをしてた。

 話してたのはネッ友の『クルミ』さん。


 今は午前4時。

 昨日の午後11時から休みなしでやってた。


 俺がなんでそんなにゲームしてるかっていうと、生きる目標がわからないから。

 高校も中退したし、なにしていけばいいかわからない。

 だからとりあえずゲームしてる。

 気づいたらゲームも上手くなってた。


 そこでゲームで会ったのがクルミさん。

 年齢も顔も知らないし、実際に会ったこともない。


 クルミさんもゲームガチ勢らしい。


 めっちゃ眠い。

 でも喉もかわいた。


 ふらふらしながら部屋から出る。

 ずっと座ってたから歩いたら変な感じがする。


 リビングは1階にある。

 階段を降りようとした。


 そしたら視界が変わった。

 なんか天井が正面になった。

 脚はしびれてるからなんも感じない。


 なんだろう、これ。

 楽しいアトラクションかな?






 「――んん?」


 目が覚める。

 見えるのは青い空。

 雲もあって綺麗だ……。

 ああ、日光眩しい……。


 ……いや、ここどこ?

 起き上がる。


 服装は変わらない。

 ただ景色は変わってる。


 めっちゃ綺麗な草原かな?

 なんかわかんないけどそこにいる。


 夢?

 夢だとしたらすごくない?

 夢の中で『これは夢だ』ってわかるんだよ?

 それできる人って結構すごくない?


 ……でも残念ながら多分夢じゃないんだよな……。

 感覚がリアルすぎる。


 『――こんにちは』


 ? なんか頭の中に機械的な女性の声がした?

 よくゲームであるようなやつ。


 ってか、『こんにちは』って……。


 『名前を設定してください』


 名前か……。

 ゲームみたいだな。


 「じゃあ……、『カナタ』で」

 『了解しました。それではゲームを開始してください』


 うーん、多分ゲーム開始してるよ?

 これもう始まってるんじゃない?


 とりあえずキョロキョロする。

 近くに木造のちょっと大きい家があった。


 あそこに行ってみよう。

 どうせ住むとこなかったらなんも始まらないし。


 それよりここってなんなんだろう……。

 異世界?


 それともゲームのしすぎで異世界に転生してる夢見てるだけ?

 どっちにしろ面白いな。


 どうせ現実の世界じゃつまらなくて退屈だったんだ。

 楽しも。


 『ゲーム目標が設定されました』


 ……ゲーム目標?


 『生き抜くことです』


 ……生き抜く、か……。

 ま、ゲームガチ勢の俺なら多分大丈夫だろ、うん、。

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