第2話 復讐への第一歩、迫りくる元仲間たちと二人の魅力的なヒロイン

アルノがデスグリモワールと新たな仲間であるエリシアと出会い、心に復讐の炎が燃え始めた直後、屋敷の外から足音が響いてきた。振り向くと、そこには彼を追放した冒険者パーティーのリーダー、ガレスとその仲間たちが立っていた。彼らの顔には不穏な笑みが浮かび、特にリーダーのガレスはアルノを見下すように目を細めた。


「こんなところで何をしている、最弱が。」

ガレスの言葉に、アルノの心には再び怒りが込み上げる。しかし、今の彼はただの最弱ではない。デスグリモワールを手にし、その力を知っている。彼はその魔導書を握りしめ、前に出ようとする。


「最弱かどうか…今にわかるさ。」

アルノの口元に微かな笑みが浮かぶ。だが、その瞬間、エリシアが彼の前に立ちはだかる。彼女は冷静な眼差しでアルノを見つめた。


エリシアは、長い白髪と紅玉のような瞳を持つ美しい少女。常に冷静で知的な雰囲気を漂わせているが、芯には強い意思を持っている。彼女の存在は、まるで周囲の空気を一瞬にして凍りつかせるかのようだ。彼女の纏うローブの下には、古代魔法の紋様が刻まれた装飾が見え隠れしている。口調は冷たいが、彼女の瞳にはアルノを守ろうとする強い意志が宿っていた。


「今ここでその力を使うべきじゃないわ。」

彼女の言葉にアルノはハッとし、デスグリモワールを閉じる。エリシアの存在は、彼にとって理性のブレーキとなり、力に溺れないための抑止力でもあった。彼女の背中は、華奢でありながらどこか頼りがいを感じさせる。冷たい態度の奥には、アルノを守りたいという思いが秘められているのだ。


その時、アルノの背後から声がした。

「アンタ、また無茶しようとしてるんじゃないでしょうね?」

振り返ると、そこにはリリーが立っていた。彼女はピンク色の髪をツインテールにし、鋭い青い瞳が印象的な女性剣士だ。普段はツンツンしているが、その実、仲間想いで面倒見がいい。彼女の服装は冒険者らしい軽鎧で、動きやすさを重視している。その胸元には、彼女がアルノとの思い出として持っている小さなペンダントが光っていた。


「リリー、お前…」

リリーは少し頬を染めながらも、素直になれない様子で腕を組む。

「別にアンタのために来たわけじゃないから。ただ…あのリーダーのガレスが気に入らないだけよ!」

そう言ってはいるが、その視線には確かな優しさが宿っている。アルノが傷つくのを見たくないという気持ちが、彼女の言葉の端々から伝わってくる。


ガレスはそんな二人の間に漂う雰囲気を感じ取り、鼻で笑った。

「はっ、二人も女に守られて情けない奴だ。どうせ何もできやしない。」

彼はアルノを見下し続ける。しかし、リリーは一歩前に踏み出し、ガレスに向かって剣を構えた。


「アルノはあんたたちの言うような弱者じゃないわ。彼は…私たちの仲間よ。」

リリーの強気な態度に、ガレスたちは少し戸惑う。だが、彼はすぐに嘲笑を浮かべた。


「ふん、仲間だと?追放されたやつが今さら…」

彼の言葉に、今度はエリシアが静かに口を開いた。


「あなたたちがどう思おうと関係ないわ。ここから去って。今はあなたたちと争うつもりはない。」

エリシアの言葉には冷たさがあり、その威圧感にガレスたちは一瞬たじろぐ。彼女の美しい瞳には、ただの少女ではない何かが宿っていると感じさせる力があった。


ガレスたちは一度引くことにしたようだが、その去り際に憎しみと軽蔑の視線をアルノたちに向けた。

「覚えていろ、アルノ。次に会う時は容赦しない。」

彼らが去った後、アルノはため息をつき、デスグリモワールを握りしめたまま二人の女性を見つめる。エリシアの厳しくも優しい眼差し、そしてリリーの素直になれないツンデレな態度。それらが彼にとって大きな支えであることに気づく。


エリシアは彼の前に立ち、真剣な眼差しで問いかける。

「アルノ、あなたは本当にこの力を使って復讐を遂げるつもりなの?」

アルノは彼女の瞳を見つめ、しばし言葉を失う。しかし、次の瞬間、リリーが間に割って入った。


「復讐とかどうでもいいわよ!あんたはあんたのやりたいようにやればいいの!でも、そのためにはまず自分が強くならなきゃダメってことだけ覚えておいて!」

彼女の言葉に、アルノはハッとする。リリーのツンツンした態度の裏には、彼の成長を願う気持ちが隠れていたのだ。


エリシアは微笑み、リリーに同意するように頷く。

「そうね。力の使い方を学び、どうするかはあなたが決めればいいわ。でも、その時が来るまでは、私たちがあなたのそばにいるわ。」

エリシアの微笑みは暖かく、リリーの頬は少し赤く染まる。二人の美少女に囲まれ、アルノは思わず顔を赤くしてしまう。


「ありがとう、エリシア、リリー…」

アルノは新たな決意を胸に抱いた。彼には今、信頼できる仲間がいる。この異世界で成り上がり、そして彼を追放した者たちに「ざまぁ」と言わせる日まで、彼の冒険は続くのだ。


その夜、アルノの前にノワールが再び姿を現す。「さて、これからどうするつもりだ?」と問いかける死神に、アルノは静かに応える。「俺のやり方で、この世界に俺の存在を示す。お前も見ていろ、ノワール。」

次回、アルノと仲間たちの反撃がついに始まる——。

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