【完結】追放された最弱、デデデデ、デスグリモワールで異世界無双 〜ざまぁの魔導書で成り上がる

湊 マチ

第1話 追放の烙印、出会うは死の魔導書と新たな仲間たち

アルノは冒険者ギルドの中央で、嘲笑の的となっていた。ギルドのリーダーが高らかに「追放」を宣言し、周囲の冒険者たちは彼を見下すように笑った。「最弱のテイマー」という不名誉なレッテルが、彼の背中に突き刺さる。

「君はただの足手まといだ、アルノ」

リーダーが冷たく言い放ち、彼の持ち物を次々と地面に投げ捨てる。アルノの喉が詰まり、言い返すことができなかった。どれだけ努力しても剣も魔法も使えず、小さな魔物を使役するだけの彼に、この異世界での未来は閉ざされているように思えた。


「これで終わりか…」

彼の心には絶望と虚無感が広がる。ギルドの門を後にし、沈む夕陽の中を彷徨う。これからどうすればいいのか、彼には何も見えなかった。


その時、不意に肩を叩く者がいた。振り返ると、そこには見覚えのある女性剣士、リリーが立っていた。彼女はツンとした表情で、アルノに手を差し伸べる。

「別にアンタのためじゃないけど、ほら、手伝ってあげるわ」

そう言って地面に散らばった彼の荷物を拾い集め始めた。彼女は、追放を決定したリーダーに反対できなかったが、内心アルノのことを気にかけていたのだ。それでも素直になれない彼女は、あくまで無関心を装っていた。


「リリー…お前…」

アルノは呆然としながらも、彼女の優しさに救われる気持ちだった。しかし、その一方で、彼の中にはリーダーたちへの怒りが膨れ上がっていく。なぜ自分ばかりがこんな目に遭わなければならないのか。なぜ努力が報われないのか。


その夜、彼はリリーと別れ、一人で街の裏路地を彷徨った。ふと、目の前に古びた屋敷が現れる。扉の隙間から怪しく光るものが見えた。

「なんだ、あれは…」

興味を引かれるように、アルノは屋敷に足を踏み入れる。そこには、台座の上に鎮座する一冊の魔導書があった。暗黒のオーラを放つその本に、彼は手を伸ばす。


「デスグリモワール…?」

手にした瞬間、彼の頭の中に低く、冷たい声が響き渡った。

「お前の望みは何だ?」

アルノの心臓が高鳴る。周囲の人間に見下され、追放され、何も持たなかった自分。しかし、今ここに新たな力があるのなら…!


「俺を追放した連中に…思い知らせてやりたい!」

その瞬間、闇の中から不気味な影が現れた。細長い手足に裂けた口、黒い翼を持つ死神・ノワールが姿を現す。彼はアルノににやりと笑いかける。

「ほう、面白い。ならば、この力を使ってみるがいい」

ノワールは軽く一瞥をくれ、デスグリモワールを開く。そこには「名前を書き、死因を描くことで、その者を死に至らしめる」と記されていた。


アルノの手が震える。だが、それは恐怖ではなく、これまで味わったことのない興奮からくるものだった。彼の心に浮かぶのは、自分を追放し、笑いものにした者たちへの復讐心。

「この力で…俺は!」

アルノが決意を固めたその時、屋敷の扉が勢いよく開かれた。そこに立っていたのは、長い白髪をなびかせた美しい少女、エリシアだった。彼女は冷たい眼差しでアルノを見つめ、言い放つ。

「その力に手を出すつもりなら、私が止めるわ」


アルノは驚き、デスグリモワールを握りしめたまま、エリシアを見返す。彼女の眼差しは鋭く、しかしどこか優しさが込められているように見えた。

「君は…」

「私は、この本の持つ力を知っている者。あなたがその力に溺れるのを黙って見ているわけにはいかないわ」

エリシアは堂々とした態度でアルノに近づき、ノワールに向き直る。

「あなたもね、ノワール。彼をただの駒にするつもりなら、許さないわ」


ノワールはクックッと喉を鳴らし、楽しげに笑う。

「面白い。お前たちの選択がこの世界にどんな影響をもたらすのか、見せてもらおう」


アルノの頭は混乱しながらも、エリシアとノワールの間に立ち、自分の手の中のデスグリモワールを見下ろした。彼はこの禁断の力を使うべきか、それともこの少女の言葉に耳を傾けるべきか。


しかし、その問いに答える前に、エリシアはにっこりと微笑み、突然アルノの手を取る。

「まずは、あなたがどういう人なのか、見極めさせてもらうわ。一緒に行きましょう、アルノ」


こうして、追放された最弱のテイマー・アルノは、新たな仲間たちと共に、デスグリモワールの力を巡る壮大な冒険へと歩み出す。彼を待ち受けるのは、異世界での成り上がりと復讐の物語。そして、彼に惹かれて集まる美少女たちとのハーレム劇が幕を開ける。


次の瞬間、アルノたちの前に現れたのは、彼を追放した元仲間たちだった。彼らの中には、新たな仲間であるエリシアの存在を怪しむ者もいる。デスグリモワールを手にしたアルノの選択は、物語を大きく動かし始める。果たして彼は、この新たな力と仲間たちをどう活かしていくのか?次回、アルノの復讐と冒険がついに動き出す——。

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