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ファビュラスとジャックは、一仕事終えて今日はもう上がろうとしていた。泥棒を二人追いかけ、酔っ払いの喧嘩を止め、迷子を親元に送り届け、とても地味で疲れる事件ばかりだった。
「最近、なんだか地味な事件ばかりですね。この前みたいに、犯罪集団を牢屋にぶち込むなんて戦果も挙げたいものですけども」
ジャックは足が疲れていたらしく、歩こうにも明らかにいつもより足が上がっていなかった。
「いいんだよ、俺たちは暇な方がいい。平和な証拠だ」
ファビュラスはそう言いながらきちんと街中に問題が無いか見渡していた。
「ですけども」ジャックは歩きながら腕を組んだ。二人は話すことも無くなったので、少しばかり、黙ったまま歩いた。詰所に向かう中、朝にはなかった張り紙を見つけた。ファビュラスはそれに気がつき、近づいた。そこにはルーナの顔が写っていた。
「ONLY ALIVE、生捕りのみ。情報求む…これは一体なんだ」
「逃亡犯か何かですかね」
「いやそんな筈はない。彼女が何か犯罪をしたとは思えない」
「知ってるんですか? この人のこと」
「え、ああ、まあ少しだけ」と言葉を濁した。ジャックはそれ以上尋ねてこなかった。前方にその張り紙を持っている青年がいたので声をかけに行った。ファビュラスはその青年の制服に見覚えがあった。駆除隊のものであった。
「この人、何かしたのかい」
「なんでも、国に対して害をなす研究をしているらしいですよ」
「そんなふうには見えないんだけどな」
「俺もそう思います」
青年は次の箇所に紙を貼りに行った。「俺もそう思います」その一言が妙に力強く、何故か印象に残ってしまった。突き放すように会話を切られたので、ファビュラスは一瞬だけ立ち尽くしてしまった。すぐに、そうもしていられないと気がつき、すぐにルーナを探し始めた。彼にとっての手がかりはあの日のお喋りだけだったのだが、それを手がかりにするしか無かった。
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