第31話 勝負の行方②

 準々決勝二回戦は王太子殿下の圧勝。

 そして三回戦にジュストが登場した。


「きゃー」


 王太子殿下にも応援団はいたが、ジュストの応援団もまた負けず劣らずの白熱ぶりだった。


「やああああ!」


 ガキン


 気合が入った雄叫びと共に、メリビルがジュストに斬りかかった。

 遠目からでも相手は気合充分だ。


「はあっ!」


 激しい打ち合いが続き、息を呑む展開に瞬きすら忘れる。


「さ、さすが準々決勝だな」

「てか、ステファンも出たじゃないか」

「負けたけどね」

「出るだけでもすごいよ。『参加することに意味がある』ってね」


 有名なスポーツの祭典で使われるフレーズを口にする。


「なんだそれ」

「あ!」


 そのうちに対戦は重大局面を迎えた。


 メリビルは最初勢い込み過ぎたのか、スタミナが切れそうになっている。

 そこをジュストは見逃さなかった。


 ガキン


 ジュストが打ち払った剣でメリビルが剣を落とした。


「や、やったぁ~」

「勝者、モヒナート」


 応援団から悲鳴に似た歓声があがる。

 次はいよいよ準決勝だ。

 対戦相手はステファンを打ち負かした相手。

 休む間もなく、次の試合が始まった。


「頑張れー、兄上ぇー」


 変わり映えのしない応援だったが、気持ちは誰よりも籠もっている。

 

 ギャレットの祈りが通じたのか、ジュストの実力か。

 ジュストはステファンを負かした相手に、何とか勝つことが出来た。

 そして王太子殿下との一騎打ち。


 ジュストは健闘の末、見事に負けた。

 そこに忖度は一切なかったと思いたい。


「僕、兄上のところに行ってきていいですか?」


 きっとジュストは本日の初黒星に落ち込んでいるはず。


「おお、行ってこい」

「帰りにカレンのお見舞いに行きますから、早く帰って来るのよ」

「わかりました」


 ギャレットは小走りに、ジュストの元へと走って行った。

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