過去の作品に学ぶ長所と改善点

※以下、公式サイトからの抜粋です。そこに個人的な見解を加えます。


https://kakuyomu.jp/info/search?q=%E3%82%AB%E3%82%AF%E3%83%A8%E3%83%A0%E3%82%B3%E3%83%B3%E6%AD%B4%E4%BB%A3%E5%BF%9C%E5%8B%9F%E4%BD%9C%E5%93%81%E8%AC%9B%E8%A9%95%E4%BC%9A2022



注意

 筆者は偉そうに書いていますが、カクヨム二年目に突入前のひよっこです。「そういう考えもあるのね」くらいでお願いいたします。



■恋愛(ラブロマンス)

竜騎士様とはじめる、愛と子竜の育成日誌


・良かった点…平凡な町娘がひょんなことから騎士様に見初められて結ばれるといったシンデレラストーリーで、とてもやさしく、心があたたかくなる作品でした。


・改善点…やや年齢層が下向けで、大人の恋愛ものとしてはものたりなさを感じます。フィオナとヴィクトールが相思相愛になる展開が駆け足ぎみなので、身分の違いであったり、恋敵の登場であったり、恋愛の障害を設定してみてください。



■異世界ファンタジー

『まほうつかい』のお仕事 ザコセンと呼ばれて〜雑魚殲滅系職業物語〜


・良かった点…元自衛官で銃器を元に初級魔法に特化して雑魚相手に無双するという設定がいいです。おじさん系主人公特有のクセの強さがよく表れています


・改善点…ストーリーにメリハリがなく行動が行き当たりばったりに感じます。せっかく神様からのクエストという設定があるので次々とクエストを提示してみてください。



■ホラー

サラカツギの家


・良かった点…“おねえちゃん”という存在をうまく引きに使えており、説明を過ごすことなく謎を深めていく構成は目を惹かれました。


・改善点…まず、地の文章における一文の長さが目立ちます。これがひとつの段落内でいくつも連なれば読者の目は滑ります。ですので、段落を変えることと、短文を組み合わせてメリハリをつけることを心がけてみてください。



■ライトノベル(ラブコメ)

魅力的な義妹と幼馴染に「好きな人ができた」と伝えてみたら、なぜか急に俺を取り合い始めたんだが。 


・良かった点…幼馴染、義妹、ツンデレの多彩なヒロインの四角関係ラブコメで、どれかが好きな読者にリーチできる設定が上手いなと思います。


・改善点…主人公が受け身でヒロインとの釣り合いが悪く、魅力的なヒロインたちに惚れられているのがご都合主義に思えてしまいます。



■ミステリー

スノージャスミン


・良かった点…中国語のリスニングはできるけど自分では話せない浩然と、日本語も中国語もどちらもできるけど希という、一人だけでは欠点のある二人が手を組むことで、見えなかった物が見えてくるという設定がとてもユニークに感じられました。


・改善点…浩然の視点ですが、時々三人称と一人称が混同されている部分がありました。細かい部分ですがミステリーというジャンルでは、こういう混同を利用したトリックもあり、読者を不要に疑心暗鬼に陥らせることもあるので気を付けてください。



■現代ドラマ

紡ぎの調べ


・良かった点…捨てられていたピアノという“きっかけ”が新たな縁を繋ぐ人間ドラマ、そのあたたかさと確かさは本当に心地よいものでした。


・改善点…セリフが説明的で、キャラクターの個性を表すものにしきれていない点は特に気になりました。セリフに説明をまとめてしまうのは、作者にとって楽な作業(所謂作者の都合)です。こうした都合は公募において絶対の減点対象となりますので、独白を含む地の文章の用い方をあらためて研究していただきたく。



■ホラー

生命の膿


・良かった点…主人公が紹介された怪しげなバイトの雰囲気がしっかり書けています。集められたいかにも社会的不適合者な人たち、胡散臭い雇い主、説明されても何をするのかよくわからない仕事内容……。これらのディテールを丁寧に書くことで、前半に不穏な雰囲気を出すことに成功しています。


・改善点…ストーリーが一本調子になっているところが気になりました。



■異世界ファンタジー

再生悪女の暗殺計画


・良かった点…悪役令嬢という王道ネタへ斬新な切口から抉り込んだ設定、すばらしいのひと言でした。王道で勝負をかけるには、他の方が思いつかないものを練り込むことが必須となります。それを冒頭部から思いきり味わえるのは最高です。


・改善点…ひとつの段落が大きく、読みづらいです。文章の連なりには緩急、つまりは長短によるメリハリがついていないと、読者の目はあっさりと離れてしまいます。段落分けを適切に行い、長文の間に短文を利かせて読みやすく整理することを心がけてみてください。



■SF

ディ・ア・レ・スト


・良かった点…義眼を落としてしまった傷痍軍人と、その義眼を宝石と勘違いしてしまう少女の冒頭での出会いがとても鮮烈で、一気に物語に引き込まれました。


・改善点…突発的に船内で起きた事件に巻き込まれるという流れが何度もあったのが気になりました。



 ここまで、カクヨム運営が2022年に実施された歴代応募作品講評会の抜粋でした。詳細が気になる方は冒頭のURLからどうぞ。この講評会ですが過去にカクヨムWeb小説コンテストにカクヨム運営によるオンラインの作品講評会です。つまり、。しかし、講評会で取り上げられたところからすると、あと一歩の作品を抜粋しているようです。



 上記の講評文に持論を交えて分析します。良かった点は作品それぞれに違うので省略します。注目すべきは改善点です。これを活かせば、受賞をグッと引き寄せられるはずです。



■改善点まとめ

・恋愛ジャンルだが、年齢層が下向け。

・ストーリーにメリハリがない。行き当たりばったり。

・同じ流れが何度もある。

・ラブコメで主人公が受け身。ご都合主義。

・ミステリーで一人称と三人称の混同。

・セリフが説明的なのは公募の減点対象。

・地の分が長い。短文も織り交ぜる。段落変えをうまく使う。



■持論

・ストーリーには山と谷を作る。読者選考通過ではウケが必要だが、書籍化を目指す場合はもっと編集者目線にする。ただ、成り上がりものにも谷が必要なのかは不明。谷を作るとしても、必要な谷(=試練)であることが前提か。



・視点のブレをなくす。ミステリーで視点のブレがあると致命的。初心者は一人称が無難か? ただ、書籍化につながるかは別問題。



・世界観や人物像の説明は地の文でする。カクヨムでトップの作品でも、セリフで説明している作品が多々見受けられるので、読者選考を通過しても受賞しない場合があり得る。



・地の文は長くても30~40文字程度が良いか? ただし、短すぎるのも問題。段落は読者を意識して行う。読者選考を通過するにあたっては、段落変更で二行程度の間隔があると、読者の目が滑りにくいと思われる。



・カクヨム講評会では改善点に上がっていないが、下記は当たり前だから触れられていないと思われる。段落冒頭が一文字空いていない。難読漢字が多い。



 一言でまとめれば、「カクヨムでウケても編集者目線でないと受賞は無理」です。ここはどれだけ書籍を読んできたかが、ものをいいそうです。



 他に気づきがあれば追記します。参考になれば幸いです。

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