第11話 右手を庇う男

階段を降り、GOLD Peace のきらびやかな戸を開けた。


黒服が近づいてきた。「初めてですか?」

すずは「はい!」(ばれてないようだわ)


黒服「初回コースがあり……」と説明をしだした。

すずは(あーこの説明2回目だわ 知ってる知ってる)


すずは、もじもじしながら

すずは「そうですかー。じゃー初回で おねがいします」 黒服がすずはをテーブルに案内した。


初回は5000円で ホストが数名入れ替わり 飲み直しで指名ができる。帰る時自分の気に入ったホストが送ってくれる。


最初に来たのは、偶然にも 伊達王(五十嵐)だった。すずは.は目を丸くして、

すずは「携帯見て」と小声で言った。


五十嵐は携帯を見た。「この店に 病院を脱走した患者が入ったの!誰か確かめて!」とLINEがすずはから 来ていた。


五十嵐「伊達王でーす。宜しくお願いしまーす。君可愛いね。名前は な〜に?」と名刺をすずはに渡した。


すずは「しおちゃん。伊達?王?どっちで呼べばいいの?」

五十嵐「どっちでも 姫の良い方で」とたわいも無い話をして時間が来たのか、次のホストに変わった。すると五十嵐が グラスとグラスを合わせる時 2回鳴らした。すずはホストを見て(こいつ‼︎)


「ラブリー愛でーす」と名刺を左手で出しながら、すずはの横に、座った。


缶酎ハイをグラスに注ぐ時 ラブリーは右手を明らかに庇っているのが、すずはには、わかった。


すずは「痛いの?」ラブリー「何が?」ラブリーはまずいと思ったのか直ぐ話をすり替えた。


ラブリー「あーね。そう胸が 君を見てキュンして痛いよ。君名前は?」

すずは「しおちゃん」ラブリー「しおちゃんねー。なるほど。しおちゃん ブラックとピンクの組み合わせ可愛いよ マジ似合ってる LINE教えてー」


すずは「うーん どうしょう 次来た時ね その時に教える」(背格好といい、右手を庇ってる服の上からも 右の鎖骨部が腫れているのが微かに分かる きっとこのラブリー愛が 五十嵐君が グラスで 伝えた様に、あの302の患者に間違いないわ。でもなんで わざわざ 入院中にホストしに⁇) 


すると あのひなたが ラブリー愛に 耳打ちに来た。ラブリーは、表情が変わり頷いた。


ひなた「姫ごめんね!こいつに ちょっと話があったんだ 君を譲ってくれってね」とだけ言って、ひなたは、去って行った。


すずは(何処までも ホストやなーこいつ)と思った。ラブリーは、すずはに「しおちゃん!又俺指名して!」言い残しグラスを合わせ席を立つと 次のホストが来た。 


すずは「えー。 嫌!伊達王にして 向こう行って」ホスト「そんな事言わずに」すずは「嫌なの!」ホスト「すみませんでした」と席を離れた。


すずは.は、ラブリーの行く後姿を目で追っていた。すずはの目は、ある光景に釘付けになった。


ひなたがラブリーの前に来て封筒を渡し ラブリーがポケットから何かを握りひなたに渡した。


すずは.は、連写した。そこに五十嵐が来た。


五十嵐「あ!今携帯で写真撮ったでしょう 隠し撮りはダメなんですよ!お店のルールで受付で 聞いたでしょ!しおちゃん」


五十嵐はすずはにこっそり「消すフリして下さい」

すずは「ダメなの?イケメンだから つい ごめんね 消すね」

五十嵐「いい子だなーしおちゃんは」と頭をヨシヨシしてきた。


すずは.は(い、が、ら、し ホストが板についてきてる 稼げるんじゃない?No.1もいけんじゃない)とマジで思った。


五十嵐は「本当に携帯消したか見せて」消してない携帯を見て「偉いなー。ちゃんと消したね」と テーブルの下で すずはにグッとポーズをした。


ラブリーは、スッカリ姿を見せなくなり 店にも居ないようだった。すずは.は、(病院に戻ったな)と思った。

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