第7話聖剣が村にきたよ


 今日は待ちに待った一年ぶりの行商人が来る日なんだよね。ワクワクして昨日眠れなかたよ!

 ルンルン気分で父さんと一緒に村の広場に向かってるんだ!!

 母さんはつわりが酷いから家で留守番中なんだ。何か珍しいもの母さんに買っていってあげよう!

 もう村の広場にはほとんどの村人達があつまって行商人から買い物したり村人達の作った木工細工やシルク生地などを行商人に売っている。


 「いらっしゃい!ゲイツさん今年も毛皮いいのあるかい?」


 「一年ぶりだなダン!今年のはすごいぞ。熊の毛皮だ!こんな大きい毛皮は珍しいんじゃないか?」

 「この毛皮は凄いね!?王都にもないですよ。」


 父さんは売るのに忙しそうだから1人で買い物しにいこうっと!


「父さん先に買い物してるね!」


「はいよ、こっちが終わったらいく。カイン無駄使いするなよ」


「じゃあ、いってくる!ダンさん高く買取りしてね。母さん妊娠してるだ!」


 「奥さん妊娠さてるんですかおめでとうございますゲイツさん!カイン君特別に買取金額に色をつけときますね」

 

 

 さあ、今年は何買おうかな?まずはナイフでもみよう。5歳児ぐらいだとおもちゃの剣とか欲しがるんだけどね。精神年齢20代後半だからチャンバラもやらないし、おもちゃの剣はいらないや。

 今日は母さんがいないからこっそりナイフ買っちゃおう!サバイバルナイフみたいのがいいな。


「あっ!カインも聖剣買いにきたの?もう私は買ったよ!"最強勇者トモカズの聖剣だよ。すごいでしょー!カインも聖剣買って一緒に修行しようよ」

 騒がしい女の子が喋ってきた。

 この子は俺の幼馴染のエレナ。髪色は水色で髪型はショートカット男の子のズボンを履く男まさりの女の子だ。同じ歳である。将来は王都で勇者になるのが夢で毎日、木の枝を振り回してる。俺がヤギの世話をしていると俺を木の枝で叩きにきたり、芝生で幸せにゴロゴロしてる時も叩いて邪魔しにくるのだ。

 俺の平穏な時間を奪う天敵である。なので、たまにはこちらから口撃をする。


「それ聖剣じゃないからね!おもちゃの剣だからね!あと、遊ばん!俺は今忙しいんだから、あっちで1人で遊んでなシッシッシッ」


「行商人のおじさんが伝説トモカズの聖剣っていってたよ!魔王も倒せる伝説の聖剣だっていってたんだよ!?」

 エレナは泣きだしそうだ。

「子供のお小遣いで聖剣買えるわけないじゃん!本当に聖剣としておじさんが売ってるんなら詐欺師だよ。エレナ気をつけな〜」 


「うえ〜〜〜〜〜〜ん(大号泣)

ケインなんて大っ嫌い!」

広場から走ってどこかにいってしまった。

 

 ちょっと5歳児にいいすぎたか

な‥‥‥


「坊主、子供の夢を壊すんじゃないよ!坊主も子供なのにひねくれた大人みたいだな!?」


 聖剣だと嘘ついて子供をだました行商人のおじさんが騒いでるよ。


「坊主もおもちゃの剣買って、あの子と一緒に遊んでこいよ!仲直り出来るぞ」


「おじさん商売上手だね!俺におもちゃの剣売りつけるなんて。まあ、買わないけどね」

 少しぐらいみてみるか。

 あれ!見覚えのある剣があるぞ!もしや俺の勇者の聖剣かもしれない?でも、あんなにサビてるわけないし。こんな辺境までこないだろう。もう勇者じゃないし聖剣なんていらないし。早く立ち去ろう。


『マスター、マスター、ヤットミツケタ、ワタシデスヨ、セイケンエクスカリバーデスヨ』


 なんか頭の中に機械音がひびくな。以前使っていた聖剣の声懐かしいなぁ!でも気のせいだろ早くナイフ見にいって母さんのお土産の甘いお菓子でも買いにいかなきゃ。


『マスター、ムシシナイデクダサイ、キコエテマスヨネ、マスタートハ、タマシイガツナガッテイルノデ、キコエテルハズデス。マスターノ、ウツワガカワッテイテモ、ワカリマス」


気のせいじゃなかったみたいだ俺の使っていた聖剣だ。今は勇者じゃなく普通の村人だからさっさと早くこの場から立ち去ろう。また勇者になって社畜の如く働かされてしまう!



『マスター、ジツハ、ワタシ、ネンワノレベルガマックスニナッタンデス。コレイジョウ、ムシスルナラ、マスターノショウタイヲミンナニバラシマスヨ』

 なんだよ?この聖剣俺を脅してるじゃん!どうしよう俺の平穏な生活が‥‥‥



「オジサン、コノコドモハ、モトサイキョウユウ‥「おじさんそのサビサビの剣売って!?」‥‥」

「うん?錆びた剣?こんなの仕入れた事ないんだけどな?でも不思議だなこのサビた剣から何か喋ってきたような気がしたんだか?」

「気のせいだよ、おじさん。剣がしゃべるはずないじゃん早く売ってよ」

「そりゃそうだな!剣が喋るはずないよな!?坊主本当にサビた剣でいいのか?さっきの子と同じおもちゃの剣のほうがいいんじゃないか?」


「これがいいんです!すぐ売ってください!!おじさん」


「はいよ!サビて売れなさそうだから30ギルでいいよ。おまけでおもちゃの剣も付けてやるよ!!

ちゃんとあの子と仲直りしてこいよ」


「はい、30ギルね。別におもちゃの剣いらないけど、ありがとねおじさん」

 

剣を受け取ったら不思議とサビた聖剣は5歳児の手にフィットして、おもちゃと同じサイズに変化してサビがとれていた。おじさんがびっくりしてるがまあ、いいか。


今の見た目の聖剣はおもちゃの剣みたいだから家に持ち帰っても母さんは怒らないだろう。

  






でもおもちゃの剣が二本持ってしまうと

 二刀流になってしまう‥‥厨二病が再発しそうだ‥‥


『マスターの浮気者〜〜!?私という最高の聖剣があるというのに(涙)』







お前ネイティブに喋れるんだな

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