第22話 取扱注意
安心してください。沢渡くんと織絵ちゃんの話、書いてますよ。一万字を目標に書いています。ラブコメにならない場合は現代ドラマか恋愛ジャンルで出そうと思います。
さて、お寄せいただいたコメントにて、「書籍化した作家は自らをファンの前にさらしてサインする」事実を知った。それを絶好の機会だととらえる方もいるだろうけれども、私のように隠れて生きたい人間にとっては拷問に等しい。この拷問に耐えられる覚悟がある人だけが、プロなのだろう。
さて、三国志でよくある話だが、部下がした忠告を受け入れない上官がいる。たいていそうした上官は部下たちに見捨てられて自滅するのであるが、このような光景は、古今東西、どこの集団でも起こってきて、そして今も起こっている。このように、自由に思ったことを口にしにくい場所にあなたがいるのだとしたら、運転する車やバイクや自転車のハンドルをちょっと切って、ガードレールを突き破って空を飛びたい衝動に駆られるかもしれない。徒歩の方は、猛スピードで飛ばしてくる大型トラックの前に飛び込みたくなるかもしれない。でも、ちょっと待って。これがファンタジーなら、異世界に転生できるのだろうが、現実はそうはいかないからだ。それに、どんなものに転生するか、わからないでしょ。モンスターとかだったら、どうするの。狩られちゃうよ?
「死にたい」時は、私の経験上、自分一人しかいない場所で、自分の気持ちを声に出すことが有効だ。できるだけ頭に浮かぶままに声に出していく。すると、十分ほどで、落ち着きを取り戻す。何が原因で「死にたい」と思ったとしても、その原因は、わが愛読書だった『聖闘士星矢』を描いた車田正美氏のマンガに出てくる表現を引用すれば、チンケなものでしかないと、気づくはずだ。
自分が思ったことを言葉にする、あるいは文字で書くことは、勇気を必要とする。現にこの文章を打っている私だって、最近は思ったことを口にしてトラブルを招くとわかれば、黙っている。そう、現実世界では、いかに率直に伝えたとしても、現状は何ら改善できない。むしろ悪化する。相手の感情を乱して支障が出るよりは、黙っている方が表面上の平和を保つことができる。「あの時言っておけば」と後悔したとしても、それが正しい判断であったかどうか、誰がわかるのだろうか。それに、何を基準として、正誤を判断するのだろうか。
「腹を割って話す」ことで円滑な人間関係を築いた経験も私にはあるが、それは双方に「関係を改善しよう」という意図がある場合に限られる。
誰かを自分にとって都合のよいように操作しようとして言葉を使うのであれば、それは失敗する。また、自分で自分を操作しようとすることも、良い結果ばかりをもたらさないと、私は学習している。
言葉は取扱注意である。プロをめざすのであれば、なおさらだ。
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