第19話 パソコンで直打ち

 パソコンで直打ちしています。

 そう、入手したのです。

 いやあ、快適ですね。

 だって今まで、スマホを持って、タッチペンで直打ちしていたのですから。このワークスペースの広いこと! 感激です。

 スマホから入力していたので、右の首・肩・腕の張りと凝りがものすごかったのです。それを改善するために中古のパソコンを入手したのでした。

 両手打ちの快適なことといったらありません。

 スマホに、文章作成アプリをインストールしていました。そのクラウドに保存していた小説を、少しずつGoogleドライブに保存しています。せっかく打った文章なので残しておきたかったのです。ドライブからWordへ移そうと思っています。Wordを使い慣れていることもあり、これから小説を書くのが楽しみです。


 パソコンを入手したもう一つの理由は、いずれ公募に挑戦しようと考えているためです。文章の保存やら、編集者さんたちとのメールのやり取りやらをするのは、スマホだけでは不十分であると思ったのです。

 それにスマホばかり見ていると、老眼の身としてはさらに目や首・肩などを痛めるおそれがあります。

 スマホから見るワークスペースでは編集中は総文字数が表示されなかったのですが、パソコン版では画面右下に表示されるので、よい目安になります。


 さて、小説を書く上での話なのですが、私は実は綿密にプロットを作らないたちです。ではどのようにして書くかというと、登場人物の姿が頭に浮かび、彼ら彼女らが動き始めるのを眺め、「書ける」と直感すれば書き始めます。

 実は『総務課の沢渡くん』は、第一部と第二部だけはプロットを用意して書きましたが、第三部だけは納得のいくプロットが作れませんでした。そこで書き始めることができずに頭をかかえました。プロットを作らなければいけないのにと焦りました。しかし書けません。私は悩んだ末、プロットを作らずに、スマホの文章作成アプリに向かいました。そしてタッチペンを動かしました。その結果が第三部です。

 第三部を書いた時、身近な方との別れを体験しました。その時に見た風景、聞いた音、感じたことなどが反映されています。それ以外にも、作品に寄せていただいたコメントにも書きましたが、『沢渡くん』には私自身の経験が反映されています。私はどうやら経験したことをエッセイとしてそのまま書くよりは、作品として書くという方が、合っているのかもしれません。あまり面と向かっては話せないことでも、小説として表すと、書いている私自身も不思議と冷静に過去を振り返ることができ、良い悪いの評価にかたよらず、自分の経験を受容することができていると思いました。

 日々胸の内にたまっていく、言葉にしたくない思いがあります。それはたいていマイナスとして分類されがちな思いです。そういう時はあえて言葉にしないまま、かかえています。するとある時突然、すっと受け入れることができるのです。

 さいかわ葉月賞にてスミヲ賞を頂戴した『赤い烏』は、陸遜の生涯を年表化してから書き始めました。必要に応じて参照した正史の原文は、ノートにそのつどメモしました。『沢渡くん』と『赤い烏』を読み比べていただくのも、プロットあり&なしとプロットありの出来栄えの差を感じられて、皆様のお役に立てるかもしれません。

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