第18話 小さな火を

 プロットを作ってから書こうとするとまったく文字が頭に浮かんでこなくなった。だから、カクヨム内の作品を読むことに専念していた。むろん紙の書籍も読んでいた。それも昨晩、張り詰めていた糸がぶつんと切れるように、もう読まなくていいやと思って、やめた。書こうと思う漠然としたイメージをただ文字にしてみた。補足説明を含めると、あっという間に四千字を越えた。そうしてできたのがこれである。


https://kakuyomu.jp/works/16818093080984974805/episodes/16818093087932605820


 医学的に見れば不正確な描写もあるかもしれない。しかし、指摘されれば物語が成り立たなくなる。だからご指摘くださっても訂正はしない。時代考証は必要最小限で行った。


 最近感じたことを書く。

 ひとの苦しみを、そのひとが感じているのと同じように感じることは不可能である。私は体の性は女性だが、精神的には男性的要素の方が強いと感じている。だからスカートも持たないし、ヒールのある靴も履かない。色つきのリップクリームを使っていたが、捨てた。化粧もしない。しかし私と同じように感じている女性の中には、具体的な医療行為をご自身の体に加える方々もいる。服薬する方々もいる。それが心身に影響を与え、その影響のために心身を損なう方々もいる。また、同性同士で暮らしておられる方々もいる。そのことに関して不都合を感じない方もおられるし、感じている方もおられる。

 収入が少ない、職場の人間関係に疲れる、子育てで疲労困憊している、などの悩みは一見わかりやすく、共感も得やすい。しかし言葉にならないレベルの悩み苦しみは多かれ少なかれ誰もがかかえ持っていて、こうして文章になったりあるいは漫画になったりすることも多くはないと思う。文章や漫画にするとしても、悩みの全容を表現し得るとは限らない。そのために私たちはより正確に表現するための方法を探し求めて書いては消しを繰り返すのだと思う。私と同じようなことを悩み苦しむ、まだ出会わないでいる、名も知らぬ誰かが見つけて、その心に小さくもあたたかな火を灯せるかもしれないその時が来るかもしれないから。そして小さな火が灯ったことを幸いにして私が知った時に、私の心にも火が灯るかもしれないから。

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