第13話 星の数と自分の実力
久しぶりに★一つの評価をもらった。
私は以前、読んだ作品に★一つをつけたところ、作者様からご意見を頂戴したことがある。その内容を詳しく述べることはしないでおくが、私としては気持ちのよいものではなかった。そこで、作者様にはたいへん申し訳ないが、♡も★もコメントもレビューもすべてを削除し、その作者様の前から自分の存在を削除することにした。それ以来その作者様からは、連絡などを一切頂戴していない。
このような過去を書いて、お読みになる方にも私について悪い印象を与えることになることは十分に予想できる。しかしそれ以来私は、★をつける時には三つしかつけないようになった。読んでいてどうしても面白いと思えない作品については、応援を示す♡や、評価の★を残さないことに決めている。
以前、日本最大級の小説投稿サイトで活動していたことがある。そのサイトではポイントは★五つが最高で、数字にすると十ポイントだった。だから★一つを評価としてつけることは、大袈裟に言えば、「おまえの書いたものは評価に価しない」と言われているに等しいダメージを作者に与える行為であると私は思ったのである。
現在、カクヨムにて私が発表した作品についた★は、作品によってさまざまである。個人的には、この作品にはもう少し★が欲しいなと思うものもある。しかしカクヨムでは★三つが最高で、★一つは「good!」なのである。だから本来であれば、★一つであっても正当な評価なのだ。
しかし私は、★一つをつけた作者様からご意見を頂戴した経験から、その作者様が私に対してどんな思いでいたかを追体験したのである。
「私の作品には★三つがついて当たり前だ! それなのにおまえは私の作品を評価しないのか!」
きっとそんなふうに私をののしりたくなったに違いない。
そんな思いは、正直に打ち明けるが、私にもある。いや、これを読んでいるあなたの中にも、大なり小なりあるのではないだろうか。自分の作品に★三つをつけてもらえて、★の数が三桁までいった日には、さぞかし気分がよいことだろう。自分の実力を誇りに思えるだろう。
しかし、中には、いわゆる承認欲求が薄い方もおいでだろう。★の数もPVの数も気にならない方もいると思う。残念ながら私はそうではない。しかし厄介なのは、自分がどんなに努力したところで、★も♡もPVも増えないことである。その努力というのは、私が昨日したように連載中のエッセイで宣伝してみるとか、近況ノートで更新を告知したりとか、読んでもらえそうな読者がいそうな自主企画に参加したりとか、できることは限られている。
また、私は速読を学んだことがあるため、読む速度が速い。読む速度は速いが内容はきちんと頭に入れている。しかしそんなことは作者様には説明しない限り伝わることはない。速読したその勢いで応援の♡を押すと、作者様によっては「ろくに読みもせずに★一つをつけた不届き者」と思われるのだ。そして「これ、微妙だよなあ……」という自分の感覚をおし殺して読んで♡をつけていると、どうしてもスクロールが速くなる。そんなことをしているからご意見を頂戴したのである。カクヨムに登録して間もない時はよくこのようなことをしていたため、それを理由に私をブロックした方もいるかもしれない。
これに懲りた私は、読むことにも、♡を押すことにも、まして★で評価することにも慎重になってしまった。現在はできる限り速読術を使わずに読んでいる。
だが、こんなふうにも考える。
しょせん私が書く作品に対する評価は、こんなものなのだ。それが私の実力なのだ。
これが今のところ私が見つけた落としどころである。
カクヨムユーザーではない知り合いたちから、評価など気にせず書きたいものを書けばいい、と助言されたこともある。基本的にはその姿勢で書き続けてきた。しかし読み手にとって一回読めば内容や状況が理解できるように書くことだけは留意している。その工夫が功を奏しているかどうかは私にはわからない。
カクヨムにて何回か見かけた文に、自分が書いた小説で読者を殴ってやりたいなどというものがいくつかあった。私はそのように、自分の作品で読者に何かしようと考えたことは一度もない。しかし題材にボーイズラブやバイセクシャルなどいわゆるセクシャルマイノリティを扱うことが多いため、仮に当事者の方が読んだとしても不快に思われることがないようにだけは気をつけている。
★の数に惑わされないようにしたいが、私にとっては難しい。
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