第11話 夏目漱石の効用
どうせ私はいつも貧乏クジばかり引いているのさと、脳内で繰り言を並べ立てながら帰宅しました。しでかした失敗とそれに付随して起きた悲喜劇が今も脳内でリピートされています。
こんな日は弁当を買って食うに限ると、なじみの揚げ物屋さんに電話しました。その店は弁当の種類が豊富なのですが、私がいつも注文するのは短時間でできるメニューです。今にも死にそうな声で注文する私に、店員さんは明るくかわいらしい声で応対、復唱してくださいました。
お弁当屋さんの前で待つ間、カクヨムにアクセスし、フォローした小説の最新話を読みます。三、四作品の最新話を読み終わり、お弁当を受け取り、帰って食べました。揚げ物の油と旨味が舌だけでなく、しわしわになったメンタルにもしみました。
さて、物書き話です。
一昨年の十二月、私は自治体の図書館から大量に夏目漱石の本ばかり借りてきて読み漁っていました。読んだことがないからということもありましたが、理由もなく突き動かされるように読んでいたのです。いわゆる文豪の作品を読みたかったことも理由のひとつではあるのですが、今思うと、日本人が話す言葉で書かれた初期の作品を読むことをとおして、小説の型のようなものを摂取したかったのかもしれません。
その後、昨年の一月末、私は高校生の頃に書いた小説をもう一度、無料通話アプリのメモ機能に入力したのでした。それが現在カクヨムに掲載している『我ら曹魏の男』に登場する、曹操に黄巾賊から助けられた少女、李氏の物語だったのです。初めてそれを発表したのはpixivですが、『我ら曹魏の男』に李氏の物語も統合されたので、それまでpixivに発表してきた分は現在は削除しています。彼女は曹操に瓜二つの息子李昇あざな暁雲を産みました。暁雲は大学生の頃に作った創作上の人物です。李氏の物語を書くことで、彼に李昇という姓名を与えることもできました。暁雲の活躍は『われそう(我ら曹魏の男)』だけでなく『我が名は曹飛将』でも読むことができます。
ちなみに『我が名は曹飛将』は、どのように略せばよいのでしょうか?『わがそう』? 『曹飛将』?
私が書く作品に夏目漱石がどこまで影響したのかはわかりません。しかし胸の奥で今も生き続けていた二人を世に出すことができました。
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