第15話 今一番欲しいものが手に入ってワロタ



 晩御飯を食べて、わかったが紗季と会わせてきたから優恵の物腰が柔らかい。


「優恵さん」


「さ、紗季さん、どうしたの?」


 見る限り紗季と意気投合しているようだし、相性が良かったようだ。

 そう思いたいだけかもしれないが紗季と和解してから運が上向いているような気がする。

 優恵の機嫌も俺が見た中では一番いいような気がするし、少し復学できる方法を知らないか尋ねてみるか。

 優恵は政府の要職についてる親を持つ生粋の令嬢で一般人の俺よかは色々な方面の事情に精通しているだろうし。


「優恵、少し相談に乗ってもらいたいことがあるんだがいいか?」


「も、もちろん」


「中退した高校に復学する方法を何か知ってたりしないか?」


「ちょ、お兄! あたしがやっちゃったことなんだし、お兄がなんとかしようとする必要ないよ」


「あるよ。受け入れられないんだよ。長い間このために頑張ってきたのにいきなり全部おじゃんになって終わりましたってだけで終わりっていうのは」


「紗季さんがやめたのは知ってましたがただことではない感じみたいですね」


 優恵は俺の目を見るとこちらの思いの強さを読とったのか、確認を取るようにそう問いかけてくる。


「ああ、一大事だ。俺が今までの人生が無にかえる」


「お兄……」


「人生か。家族のために頑張ると言っていたがそこまで君にとって重いことがらとは思ってなかった」


 俺が優恵の言葉に是と答えると紗季は自分一人の問題ではないと察してか、口を閉じ、優恵は微笑を浮かべていた表情からいつもの真顔に戻る。

 ダンジョンにいるときと同じ表情になった。

 仕事をする時の顔だ。

 この顔をしている時の優恵は頼まれた仕事を絶対に成功させる。


「本人次第だけど復学、退学、学歴の捏造を思い通りにできる人間を知っている」


 俺の予感通りにこちらが求めてやまない返事が返ってきた。


    ───


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