第8話 破滅するクソ強底辺配信者



 泣き止んだ紗季と共にダンジョンの奥に進む。


「大丈夫?」


 ホストの健太が女の子を助ける姿が見える。

 ちょうど獲物が罠にかかったようだ。


「あー! その人がトレイン起こしてミカにモンスターけしかけた人ですよ!」


「え?」


「あ?」


 ・そいつやばいぞ

 ・サイコパスで草

 ・こんなのもう犯罪だろ

 ・トレインで大群になったモンスター押し付けるとか普通に殺人だろ

 ・ミカたそ騙されたらあかん

 ・そいつ暴露配信の配信者に貢がせまくってるクソホストで草

 ・色んな配信者から被害報告上がってるけど何股なんこいつ

 ・アカリンも前絡まれたけどホンマ騙されんでよかった

 ・健太いつも配信者の危機に現れるからいい奴だと思ってたら自作自演の極悪人で草


 先ほどまで健太がトレインを引き起こす様子を配信していた協力者であるアカリンが指摘すると健太ともう一人の配信者ミカが驚いた顔をする。

 ミカも今日健太を嵌めるためにアカリンに呼んでもらった協力者であるが、迫真すぎてとても演技とは思えない。


「アカリンほんと? コワ! この人サイコパスじゃん!」


「お前さっきまで撮ってたのか? 助けてやった恩も忘れて何やってんだくそ女が!」


 ・アカリン逃げろ!

 ・逆ギレして草

 ・本性現したわね

 ・助けた(マッチポンプ)


「てめえら、絶対許さねえぞ! ATMごときがよお!」


 コメントで自分の現状を把握して、逆上したようで健太が怒号を飛ばすと感情のままにアカリンに殴りかかり始めた。


「やめろ」


 アカリンには反応できない異様な速度で繰り出される拳を受け止める。


「邪魔すんなよ! 誰だてめえ!」


 懐からダンジョン発掘物だろう薬瓶を取り出して口に含むとさらに力が強くなる。

 だが俺の力よりは圧倒的に弱く問題にはならない。

 そのまま捻りあげる。


「俺はお前に騙された子のお兄ちゃんだ」


「あがああああ!」


 痛みに耐性がないのか、そのまま絶叫すると地面に膝をつく。


「くそが!」


 健太はこちらを睨みつけると近くに居る紗季を見てニヤつき始めた。


「そうか! そいつはお前の兄貴か、紗季! 助けてくれ! そいつを説得してくれよ! 俺が苦しんでるんだぞ!」


 必死に健太が紗季に懇願すると紗季は目を逸らした。


「ごめん」


「ごめんってなんだよ……! お前は俺を助けるのが仕事だろ! おい見捨てる気かよ! クソ女が!」


 聞くに耐えない。

もうすでにこいつの悪事については全て晒し、醜い内心を曝け出す瞬間も撮れた。

 もはや顔を売るホストとしてやっていけないし、まだ一般人が入って日が浅くダンジョンの中の犯罪ついては法整備が追いついていないが、これだけ炎上して多くの人間から問題視されればなんらかの対応は取らずにいられないはずだ。

 今は警察に引き渡しても逮捕されずに即釈放されるかも知れないが紗季に負担をかけないために引き渡すか。


「ふざけんじゃねえ! 俺の天下はまだ終わらねえ! 全員ぶっ殺して逃げれば俺ならやり直せる!」


 健太はさらに懐からいくつもの薬瓶を取り出すと大口を開けて噛み砕き飲み込む。


「グオオおおお!」


 過剰摂取の副作用か、体が肥大化し始め筋肉ダルマとしか形容のできない姿となる。


「ぢねええエエエエえ! まずは裏切り者のてめえからだ!」


 紗季の方に向けて肥大した拳を振り下ろしてくる。

 詰んでもまだ紗季に手を出そうとするのか。

 まだ保身に走って紗季や他の被害者に謝罪する方がましだった。

 再起不能にして終わり──穏便にすますことはやめにする。

 紗季の前に出ると巨大化した健太の拳に叩きこむ。


「ぎゃああああああ!」


 健太は絶叫をあげると射出された大砲の玉のように吹っ飛び顔から天井にめり込んだ。


「二度と紗季の前に姿を現すな」


    ───


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