第45話 疑惑の美人さんと凪くん
凪くんがどうやらあの美人さんに振られたらしい。
なんでそれを知っているかというと、今まさに凪くんが私の部屋にわざわざ文句をいいにきたからだ。
「信じられない、俺のどこが悪いのさ」
「女ったらしだからですよね?っていうか、どうして私にいいにくるんです?」
「亮も海もダメだからね。あいつらは俺の気持ちも彼女の気持ちもわからないから」
私もわかりませんが、というツッコミを飲みこみ、凪くんに紅茶を出す。
「もともと俺がたくさんの女性にモテるのは知ってて付き合ってるじゃないか。嫌になった、ってなんだよ」
なんだろう、この人。
一回頭を殴られた方が正気に戻るんじゃないだろうか、そんなことすら考えてしまう。
「はあ、ショックだよ。これまでで五本に入るくらいの美人だったのに」
……これは、さらにツッコむべきなのだろうか。
「残念だったけど、また彼女できると思うから」
「うん、知ってるけどさ」
……さすがの私でも腹が立ってきた。
そもそも私の事嫌いっていってるのに、なんでこの人は私の部屋にいるんだろう。
その時、足音が響き渡り、こちらへと誰かが駆けてくる。
ノックなしに扉が開かれ、 海くんと、亮くんが現れた。
「愛理ちゃん……と、凪兄?」
「凪兄、なんで愛理の部屋にいるんだよ」
凪くんと私を交互に見やり、その亮くんの整った顔の眉間には、くっきりと皺が寄っている。
「失恋の話を聞いてもらってた。一人だとショックすぎて泣いちゃうじゃないか」
「そんなバカな話に付き合うことないよ、愛理ちゃん。慣れてて明日には復活してるから、ってそれどころじゃなくて」
「大変なことになった。じいちゃんのところへ、向かうぞ」
いわれ、私と凪くんは顔を見合わせる。
「愛理、早く」
そういわれ、亮くんにぐい、と手をひかれ自室を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます