第25話 捜索開始

 私は鏡の前に立って、気合をいれた。


 時刻はまだ日曜・昼。

 まだ今日、半日くらいは捜索の時間はある。一刻も早く日記を探さないと。


 それにしても、どこにあるんだろうか。

 

 私は矢継のおじいちゃんの言葉を思い返す。

 

――この屋敷のどこかに、ある。ただし、除外する場所もある。おじいちゃんの部屋と男の子三人の各部屋以外。そこは置いておらんし、他はどこでも入って良い、どう探してもらっても構わない。



 そう、ならば……可能性がありそうなのは、矢継のおじいちゃんの部屋。だけども、そこには無いという。他にありそうな場所は――どこだろうか。

 

 そして、その後こうもいっていた「お嬢ちゃんの手の届く範囲にある」と。 

 探せる範囲にある、という認識でとらえる。

 例えば、思い出の品がおいてありそうな、倉庫とか、屋根裏部屋とか――。

 

 うん。

 その辺りを、探してみよう。


 私は鏡をチラリと見た。


 さんざん冷やしていたからか、まぶたの腫れはひいてきた。

 このくらいまで治まればパッと見られても、そこそこ大丈夫な気もする。


 部屋の扉を開け、そっと外に出た。

 まずは、倉庫を探してみようーー。

 

 お手伝いさんに声をかけ、どこにあるのか、というかあるのかすら知らない倉庫の場所を聞く。

 

 するとさすがは、大財閥・矢継家といったところだろうか。

 倉庫というより、離れにある別邸がまるごと倉庫扱いらしい。

 

 そうとうな貴重品があるから、鍵は家族ーーいわゆる、矢継のおじいちゃんと孫3人しかもっていないらしい。

 矢継のおじいちゃんは今日、すでに出かけてしまったそうで、つまり亮くんたちに開けてもらうように、頼むしかない。

 倉庫兼別邸の鍵がなければ、どうにもできないからだ。

 

 どうしよう。

 凪くんはあり得ない。

 海くんに頼んでみる?でも、友達だから、っていっても、昨日の今日では頼めない。 都合が良すぎるし、関係を利用している感じもして自分が嫌だ。

 

 やっぱり、ここは事情を知っている仮でも婚約者、扱いの亮くんじゃないと――ダメかな。ずっと迷惑をかけっぱなしで、心が痛むけれども。

 

 考えに考えた末に、私は重い足取りで亮くんの部屋へと赴いた。

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