第3話 国の犬。

「…孤児院、国の犬、誘拐。」

今浮かんだ言葉を口に出す。この人は孤児院で育ったのか。だからといって私になにかある訳じゃあるまいし、無縁なのだけれど。

「なぜ自分が君をここに連れてきたのか。理由なんて、分かるはずないよな。」

「まぁ、はい。」

私を、ここに連れてきた、理由。

「我々は、国家秘密団体に所属している。この団体の名はフルコース。」

「ふるこーす?」

「そう。フルコースだ。簡単に言えば、この世の表では処理しきれない裏側の仕事をする団体だ。フルコースでは10のグループ分けがある。紅、黄、緑、蒼、紫、黒、白、金、銀、そしてプラチナ。色ごとに分かれている。」

赤、?黄、?変な分け方。そんなことをうっすらと思いながら説明を聞く。私はなんと面倒な事に捕まってしまったのだろうか、

「色ごとに力が割り振られる。赤は動物を操る能力が主な能力だ。そこから発展したりもするし、使えたり使えない能力もある。ここは個人差だ。」

「非、現実的ですね。」

「そうかもしれないな。だが、本当に力というのはあるのだよ。敵は皆、私たちを見て口を揃えて言う。人外種め。と。」

人外、種。人ではない、そう言いたいのだろうか…

「基本的に、紅、黄、緑、蒼、紫をオリジナルカラー。黒と白をモノカラー。金、銀、プラチナをレアリティカラーと呼ぶ。オリジナルカラー、モノカラー、レアリティカラーと希少になって行く。プラチナの器なんて、数千年に1度生まれるかどうかと噂されるほどだしな。」

はぁ。なんだか難しい話だ。

「そこで君には、白の器になってもらいたい。それが君をここに連れてきた理由だ。」

「はい?」

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