第2話 出会い。

…何処、?

目を開ければ病院の天井?それとも新しい親の顔?さぁ、わかんないけど…とりあえずここは病院でもなく、新しい親の顔もない。

目をぱちぱち閉じたり開けたりしていると、足音が近づいてくるのに気がついた。少しばかり耳が良くなった気がする。

「起きたか。」

「とりあえず、此処は何処なんですか。」

「そうだな、簡単に言えば我々の拠点だ。」

学校に来て襲ってきたアイツらと同じグループの人だろうか。黒いカラスのようなマスクに、黒いパーカー、黒いズボンに黒い靴。男か女か。髪色すらも見えない。どこからどう見ても怪しい。

「すまん。怪しいよな…簡単に言えば私は国の犬だ。」

「国の人が、なぜ私を誘拐なんてするんですか。」

「すまない、誘拐だよな。」

あっさり認めるんだ。悪い人では、無…ううん、ここで決めつけちゃいけない。最後まで聞かなくちゃ。

冷静に頭の中を整理していく。

「国の犬、と仰いましたよね。ではなぜ私を誘拐するのです?」

「少し、昔話をさせてはくれないか。」

昔、話…過去を知れるなんて良い機会ね。悪いかどうかなんて大体過去が絡んでくるのだし。

「はい。」

「私は昔、母と父、妹と弟と5人家族で、極一般的な幸せを持って生きていた。ある日、5人で水族館へ行ったんだ。帰りの車。下2人はみんな寝ていて、親が仲良く話していた。今でもはっきり覚えているよ。」

…ただの思い出話ね。

「前から逆走したトラックに突っ込まれたよ。正直、幼いながらに死んだかと思ったさ。でも、私だけは…生き残ってしまった。」

「酷いですね。」

「そうだろう。それで、生き残ってしまった私は孤児として、国の運営する孤児院に入れられたのさ。」

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