第4話

 私が小説(と呼べるのか、甚だ疑問だが)を書き始めたのはたぶん、中学生の頃からだ。


 学年でいうと、二年の夏頃だったか。中一の時に、某時代小説やラノベにはまり、自分でも書きたいと思うようになる。ちなみに、賞に一回応募してみたいくらいの気持ちで当初はやっていた。

 けど、書いた初めての作品は飛鳥時代後半くらいが舞台のタイムスリップもので。いや、滅茶苦茶難しいジャンルやし、初心者向けやない!と今ならセルフツッコミをしたろうが。そんな事も分からずに、私は書き始めた。

 ……いや、お恥ずかしい限りではあるが。見事に未完の作品になったのは言うまでもない。けど、不思議と後悔はしていなかった。まー、最初はこんなもんよ。そんな心境になった。


 タイトルは「風の記憶」だったか。主人公は恵ちゃんといい、中学三年の女の子だ。年齢は十五歳。そんな彼女が飛鳥時代後半に、ひょんな事からタイムスリップしてしまうとか言う内容だ。ちなみに、他にはいとこで姉御肌のあきねちゃん、超イケメンながらにぶっきらぼうな大和君、見かけは年齢不詳の謎の少年のスグル君などなど。結構、個性的な人物が出てくる作品であった。

 中学生の頃の友人は「スグル君が好き!恵ちゃんと付き合えばいいのに!」と言っていた。私は「いや〜、大和君にほんのり恋心を持たせたい」と答えたが。

 友人は「カーッ!あんたは生ぬるい!」とか、言っていたのだが。おかげで、ちょっと軽くケンカになりかけた。


 本当に、私は恵ちゃんと大和君を付き合わせる気はなかった。スグル君ともね。

 何せ、恵ちゃんは恋愛経験がさほどない。んで、年の離れたお兄ちゃんが目を光らせていたしな。そんな訳で友人には後で説明したかったが、高校受験で多忙な時期だったからか。結局、説明が出来ずじまいだ。

 あの子、元気にしとるかな?

 今でも、ふと思うな。

 さて、作品に話を戻したい。恵ちゃんは後に、現代にあきねちゃん、大和君の三人で戻る。スグル君はいない。彼は既にこの世を去っており、成仏していた。

 三人は恋愛関係にこそならなかったが、親しい友人にはなる。ちなみに、あきねちゃんは同じ中学校に通っていた先輩が好きで。恵ちゃんが協力したりといったストーリーを考えてはいた。個人的には「高校編」とか、呼んでいた。


 それでは失礼する。

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