第2話

 昔から、音楽が好きだった。


 私が幼い頃、父はよく自動車で走りながら、カセットテープやCDをセットして音楽を掛けていたが。中でもかの「元祖踊って歌えるアイドル」として、有名な荻野目洋子さんや美空ひばりさん、他の演歌歌手などの曲を好んで聴いていた。

 小学生の頃はなんとはなしに聴く程度だったが。中学生になってから、時折父に「この歌手さん、上手やわ」と言って、さりげなく興味を持ってもらえるように仕向けるようになった。いや、言い方がすこぶる悪いが。まあ、遠回しに「この人のCDがほしい」とねだる?ようになっていた。

 例えば、MISIAさんや宇多田ヒカルさん、元ちとせさんは父も「いい声しとるな」と言うくらいには実力がある歌手だったわけで。まあ、MISIAさんは声を張り上げるだけでなく、曲によって出し方を変えたり、メリハリがほしいという評価だった。

 よく考えたら、父くらいの年代もとい、五十代以上の人達はあのレベルの高い昭和の歌手達の曲をずっと昔から聴いて育っている。だから、要は上手な人の歌を普段から聴いていたわけだ。なら、平成や令和の歌手達の歌ではちょっと、物足りない点があるのは仕方ないと言える。

 

 昭和の歌手達で現在も活躍している方なら、布施明さんが有名かな。他にも演歌歌手なら、坂本冬美さん、五木ひろしさんなどなど……。

 私も坂本さんの曲をカセットテープで聴いた事がある。何より、声量や声域が半端なかった。かなり、驚いたのは確かだ。


 布施さんは何かの折に、コンサートを観に行った事がある。声域もさることながら、声量やスタミナが半端なかったのは言うまでもない。マイク無し、自身の肉声だけで歌っていたのには凄く驚いた。いや、ゆったりした曲の時にうたた寝していた馬鹿な私を見て、ムカッときた……らしい。

 たぶん、イタリア語で「眠るな!」と言う意味だとはおっしゃっていたが。そう言う歌も披露していた。いや、布施さんにはただただ、面目ないと言う他ないが……。←寝不足だったのはここだけの話だ。


 と言うか、私がうたた寝してるの、ばっちり見えてたようだし。ごめんなさいとしか、言いようがないな。

 恥ずかしい限りである。


 それでは、失礼する。

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