作品は我が子派vs作品は自作派。実力者とライトユーザーの価値観の違い

文字塚

ライトユーザーは創作活動そのものに集中するべき

 さて、今回は創作におけるある種「思想的」なお話を記します。力量、立場や姿勢が違うと、これだけ考え方が異なるというお話ですね。先に結論を記します。


・小説投稿サイトはライトユーザーだらけ

・ネットワークの進化の結果

・アマチュアユーザーに打ち切り宣告はない

・短編の反応を見て長編化するか決める手法が定着してる


 その上で、


・完璧主義はお薦めしない

・リアリストであれ

・現実と折り合いをつけろ

・ライトユーザーは完結にこだわるな

・同じ作品を長々と書き続けるな


 これが私の結論です。ではいこう。


□「自分の作品は我が子のようなもの」

 こういう表現を用いる方がいることは存じ上げております。ですがこれ、日本語として極めて不適切。論戦に持ち込めば確実に仕留めてみせると断言出来ます。


「なぜ我が子で金儲けするんです?」

「我が子を改稿するとはどういう意味です?」

「なぜ我が子を問題ある状態で公開したんです?」

「我が子が連載打ち切りになったら、あなたはその我が子を見捨てますよね?」

「サグラダファミリアが未完成なのは罪だとでも言うんですか?」


 とまあ「我が子」という表現を徹底的に小突き回す展開になりかねません。ですが「自作は我が子」と表する方それなりにいるんですよね。そしてプロ作家の方が裁判でそう主張し、和解に持ち込んだというニュースもあります。この表現を使われる方それなりに見受けます。

 というわけで、お互い尊重し合いましょう(笑)


□完璧主義vsリアリスト

・創作活動そのものを重視するか否か


「作品」と「創作」のどちらを重んじるかという話ですが、これ実は別物です。ここが「我が子」と表現される方との決定的な違いでしょう。


 創作活動そのものを重視する者にとって、自作は結果でしかありません。完結させるか未完でも構わないかは、作者が責任をもって判断するものです。

 また「完成度」も時間や労力、技量など現実と折り合いを付け時に妥協します。「我が子」と表現される方はそもそも実力者が多い。この方達にとっては、完結させることなど当たり前なのですが真逆の勢力がいます。

 ちょっと分類してみます。


・「我が子勢」主に実力者

 こだわりの強い作者。これを支持する読者もこだわりと愛情が強い。


・「中間派」ビジネスユーザー

 使い分ける人達。ライトユーザーにも多く、そもそもスタンスが明確でない人達もいる。


・「自作。作品。ネタ勢」現実主義者

 目的は創作そのもの。「自作とはなんぞや」と問われれば「自作」としか言いようがない。あえて表するなら「結果」か「自分」


□小説投稿サイトの現実

 私は現実主義的なスタンスを採用しろと言わざるを得ません。

 というのはですね、


「簡単に作品を公開出来る世の中になってしまった」からです。


 ネット社会になり小説投稿サイトが出来て以来、素人から玄人までたくさんの人達が作品を公開するようになりました。結果、めちゃくちゃ書き手の素人さんが増えたんですよ。その人達が成長しプロになるかはいざ知らず、いや普通にあるけど、大抵「壁」にぶつかります。


 だって技術も知識も経験もないんだから。


 となると「未完という経験も積め」と言わざるを得なくなるんです。アイデアレベルの作品を書き投稿し、結果完結させられず終わる。もしくは「どこで終わらせるか決断出来ず、延々書き続ける」という現実が待っています。


 いやもう他の作品書けと。一旦その作品置いて別の作品書けと。もしくは無理やり終わらせるか、投げ出してしまえと私は言いたい。完結させるかどうかは自分で決めなさい。無理に完結させなくてもいい。


 とにかく「創作自体」と向き合え。

 拘泥するな。

 理想は引っ込めて現実を見ろ。


 そう言いたい。

「自作は我が子」という完璧主義な実力者の方は、素人さんやライトユーザーさんが気軽に小説投稿サイトを利用されている、この事実を受け止めていただきたい。皆が皆、物語や小説を書くことを学んでから始めるわけではないのです。


「書いてみて初めて、自分を知る」


 という段階にある人が結構な数でいます。

 そして準備もなく投稿出来てしまう。

 これが現実です。


□打ち切りのない世界。完成度や完結にこだわるな

 繰り返しになりますが、私は「完結」にこだわる事をお薦めしておりません。というのは「商業ベース」には打ち切りが存在しますが、アマチュア作家は「自分で判断しなければならない」からです。

 随分前からネット上に気軽に作品をアップ出来る環境が出来てしまいました。このような環境においては完結にこだわると「創作そのもの」から離れねばなりません。


 完成度、完結にこだわると創作活動自体出来なくなるんです。

 経験を積むことには二種類あり「公開して読んでもらう」と「ただ書き続ける」というものがあります。読まれないという現実が待ってる可能性もあるけど。


 これを否定するだけの根拠を私は存じ上げない。今少し踏み込めば、完結にこだわるその価値観を人に押し付けることは「憲法の精神」に反します。思想信条、表現の自由を否定されるなら、その限りではありません。

 もちろん冗談ですが、お互い尊重し合いましょう(笑)


□同じ作品長々と書くな。根拠を提示しよう

 約一年創作活動から離れ気づいたのですが、復帰してもまだ同じ作品書き続けてるユーザーさんがいるんですよ。

 いやもうその時間と労力、他の作品に使えと。俺も経験あるけど、超長編に素人が手を出すなと。やってしまったならば、無理やりにでも完結させるか放置してしまえ。


 根拠提示してやる。


 2013年の話ですが「Transparent Dark」という私の当時「一章」のみ記し公開していた作品、今のネトコン(旧なろうコン)の一次を通過しました。5万文字も書いてない、文字数はたかが知れてる作品です。たぶん4万文字ぐらい。 

・Transparent Dark 当時なろうでのスコアは50P未満だと思う

https://kakuyomu.jp/works/1177354054897700495


 で、これが、

「2000作品の中から勝ち残る211作品に選ばれた」

https://www.wtrpg9.com/novel/infome/043.html

(上から見て行けば見つかります)


 一章のみ、5万文字に満たない作品で他の作品蹴落として勝ち上がったんです。結果、


「続き書いて下さい。でないと二次で落選しますよ(意訳)」


 って公式さんからメッセージ来ましたが、無理です(笑) 当時の俺にそんな体力も技術も時間もなかった!

 このように、何十万文字書こうと「ノリだけ」で書いた奴に負けるんです。それでいいのかと。それで納得出来るのかと。出来るなら別にいい(笑)

 私も70万文字とか書きましたが、あれはいい経験でした。


「描きたいこと詰め込めばいいってもんじゃない」


 盛り盛りに盛るなと。

 どんだけの要素折り込むつもりかと(笑)

 むしろ不要なものは排除していけ。

 と、こういうものも経験し学びます。

 経験を無駄にしないことも大切なんです。

 そっからトランスペアレントダークに舵を切り、長々と創作活動から離れ、一昨年の暮れに復帰し短編中編とコンテストの中間選考通過。でまた一年休んで今年七月に復帰し、今長編の戦いに参戦してます。


□〆に。短編で反応を見て書く手法。商業ベースでは普通

 我が子と表する気持ちは分からなくもありません。それは否定しようもない現実です。

 他方、我々のような「ノリ」で書いてる奴らもいます。でまあこういうのが勝ったりするんですよ。そもそもコンテストに興味がなく、たまたまそこにコンテストがあったから「参加タグ付けた」という方結構いると思います。


 更に短編を投稿し反応がいい作品を長編化するという手法も定着しています。商業ベースと同じです。数だけは増えていく作品の中から、読者さんも何読むか決めないといけない。だったら気に入った短編応援して、気に入った書き手ユーザー応援して長編作品読みたいじゃないですか。


 成長成功、健全な創作活動を送る為にも現実主義者的な観点を持ち、時に理想主義的姿勢で挑む。これが現実的と私は考えるわけです。

 とまあ、様々な理由を記した結果、我々は分かり合えたと信じたい(笑)

 ですが、もし自作でトラブルが起き裁判沙汰になった際は、


「俺の作品は我が子のようなもの」


 と、堂々と主張させていただきます。ええ、たとえ微塵も思ってなくても、使えるものはなんでも使います。なんか広く響いて刺さる主張のようなので(笑)

 ではまとめ。


・完結作品を増やす為にも未完に終わったという現実を受け入れましょう

・完結までの道のりを正確に描くには、正確なプロットか力量が必要

(私はプロット書かないけど。せいぜい簡易的なもの。古くからいる)

・そして、更新が止まった作品は必ずしも放置されているとは限らない。時を経て完結させるケースがある

・ライトユーザーからヘビーユーザー。素人から玄人まで幅広く存在するので、皆さん互いを尊重しましょう


 と、以上になります。

 ではでは。

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作品は我が子派vs作品は自作派。実力者とライトユーザーの価値観の違い 文字塚 @mojizuka

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