第2話 敏達天皇って知ってる?

「ね? 私で、童貞、卒業しよっ?」

妹はそう言いつつ飢えた肉食獣のようににじり寄ってくる。

目の前で下垂した大きな胸が揺れる。



「……何で俺としようと思うんだよ」


「だって、お兄ぃが童貞なんて恥ずかしいし」


「はずっ……!?」


「お兄ぃが、女性経験もないヘタレ雑魚童貞だなんて知られたら、私、恥ずかしくって外歩けないよぉ」


確かに俺も恥ずかしいがそこまで言われることか?


「……そもそもお前はどうなんだよ?経験あるのかよ?」


「私?普通に経験済みだよ。私だってもうオトナなんだから当たり前じゃん」


その言葉に頭が一瞬フリーズする。

ショックだ。自分より年下の妹が自分より先に経験済みなんて。


「一体誰と……」


「そんなの誰だっていいじゃん。……もしかして嫉妬してる?私が純潔を捧げた相手に。嫉妬しちゃってるっ?

……まあ、経験済みな私に全部まかせて、童貞卒業しちゃお?」


「いや、だから兄妹でするのは…」


「あのね、禁止されてるのは結婚だけなんだよっ?えっちすることは禁止されてないのっ!!!」


「……そうなのか?」


それは知らなかった。

そもそも妹はなんでそんな事知っているんだろう?

俺は目の前のたわわに実った果実を見ながら考える。


こいつ、勉強苦手なのになぁ……

さっきのプトレマイオス朝やロトの件もそうだ。

……まさか俺としたいから調べた?

そんな事はないか……

俺の頭は混乱していた。


……よし、少し質問してみるか


「敏達天皇って知ってる?」


「妹と結婚した天皇でしょ!」


即答だ。しかも限定的知識だ。

推古天皇つながりでこれはどうだ?


「十七条憲法って知ってる?」


「……そんなの知るわけないじゃん!」


……やっぱりこいつ、近親関係に知識が偏ってるな……


まさか本当に、俺と、したいから……?



目の前で大きな胸が揺れていた。

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