第11話 未来への扉

リサは群衆に囲まれながら外へと解放された。彼女を取り囲む人々の目には、強い決意と怒りの光が宿っていた。彼らはリサの真実を受け止め、行動を起こすためにここへ集まったのだ。リサの叫びが一部にしか届かなかったとしても、それは火種となり、少しずつ人々の心に火をつけていた。


広場に出ると、リサは目の前に広がる光景に息を呑んだ。そこには、世界中から集まった人々が、抗議の声を上げながらプラカードを掲げていた。「自由を!」「真実を明らかに!」というスローガンが空高く響き渡り、まるで一つの大きなうねりとなって周囲を包んでいた。


リサはその光景に涙を流し、彼らの中に自分が発した真実の一片が届いていたことを確信した。彼女は自らの肩の痛みに耐えながら、ステージのように高くなった場所へと登った。人々は彼女を見上げ、その視線には期待と尊敬が込められていた。


リサは群衆を見渡し、静かに口を開いた。「皆さん、私は『コンサルタント』の陰謀に立ち向かうために、この場所に立っています。彼らは私たちの未来を操り、自らの野望のために世界を作り変えようとしています。でも、私たちにはその未来を取り戻す力がある!」


その瞬間、群衆から一斉に歓声が上がり、リサの周りを取り囲むようにして声援が響いた。彼らはリサの言葉を待っていたのだ。リサは深呼吸をし、さらに続けた。


「彼らは情報を操り、私たちの声を封じ込めようとしました。しかし、私たちは彼らに対抗できるのです!私たち一人ひとりの声が集まり、真実を明らかにするための力となります。今こそ立ち上がり、彼らの偽りに立ち向かうときです!」


リサの言葉に呼応して、広場に集まった人々は拳を突き上げ、声を合わせた。「自由を!」「真実を明らかに!」彼らの声はさらに広がり、周囲の建物に反響し、都市全体を揺るがすほどの大きなうねりとなった。


その時、遠くから警報の音が響き、広場の周囲に警察や『コンサルタント』のエージェントたちが現れた。彼らは無表情で群衆を包囲し、リサを拘束しようと前進してきた。しかし、リサの前に立ちはだかったのは、彼女を守ろうとする市民たちだった。


「彼女を連れて行くな!」人々は声を合わせて叫び、エージェントたちに立ち向かった。リサは一瞬の混乱の中で、その勇気に満ちた人々の姿を見つめ、涙をこらえきれなかった。彼女の心には、彼らが自分のために戦ってくれているという感謝の念と、彼らと共に未来を切り開くという覚悟が満ち溢れていた。


エージェントたちは一瞬戸惑い、その隙にリサは群衆の間をすり抜けて走り出した。彼女は自分の後ろで続く人々の声を聞きながら、広場を抜け、ビルの間を駆け抜けていく。彼女の中には、もはや恐れや絶望はなかった。ただ、真実と自由を求める心が彼女を前に突き動かしていた。


リサはたどり着いたビルの屋上で、広がる都市の風景を見下ろした。広場から街全体に広がる人々の声が、彼女の耳に鮮やかに響いていた。それは、新しい未来への希望の声だった。彼女の戦いはまだ終わっていない。だが、彼女は一人ではなかった。世界中の人々が真実に目覚め、共に戦うことを決意していたのだ。


彼女は深く息を吸い込み、これからの戦いに備えるために心を静めた。『コンサルタント』の陰謀はまだ完全には終わっていない。しかし、彼女には彼らに立ち向かうための力があった。それは、真実を求める人々の声であり、その声が世界を変えるのだと彼女は信じていた。

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【完結】リサ・カーター 真実の目 シーズン1 『金融の勝者』タブーに触れたこの物語は、いつ規制されてもおかしくない一冊。読む者を現実と陰謀の境界へと誘う、究極のディストピア・スリラー。 湊 マチ @minatomachi

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