第4話 丘南杉将と枕木町(遅刻したプロローグ)
丘南杉将。
姓が丘南杉でオカナスギと読む。名はショウ。
もしもこの世界が小説の中の世界だったとしたら、彼はとてもじゃないが主人公になれるような人間ではない。
彼には正義的観念などないし、逆に悪と称されるほどの野望を持っているわけでもない。
SFやファンタジーなどフィクションに多く登場するような、人間の姿をした非人間というわけでもない。勇敢に強敵へと立ち向かう性格なども持ち合わせてはいない。
では丘南杉将とはいったい何者なのか。
一言で表すならば、人間の醜さが前面に浮き出てきた顕著な例、だろうか。まず間違いなくいい人間ではない。
おそらく悪い人間であることには違いないだろうが、それでいて格好良い悪党ではない。
やはり主人公には向かない少年である。
丘南杉将。十五歳。
彼は欲望に忠実である。
とりわけ、怨恨により生じた欲求に対しては異常なまでに素直な行動を取る。彼は何か被害を受ければ必ず報復行動に出るのである。
丘南杉将たちの住処たるここは、枕木町と呼ばれている。
この枕木町は丘南杉将のような危険人物が多く、真っ当な人間は誰も寄りつかない。警察でさえも、ここにだけは踏み入らない。
ここにいるのは無法者やゴロつきばかりで、指名手配犯もよく潜伏している。
しかし、枕木町のことを知らずに迷い込んだ危険な犯罪者ほど、この町の危険人物に手を出してしまい逆に殺されてしまう。
警察が入ってこない以上、この町で事件が起きれば、それはすなわち迷宮入りの事件となる。
これはそんな枕木町と、危険で野蛮な住民たちの物語である。
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