第13話 ねるとん
霞 晴子は、小さな咳払いの後、
みんなの顔を見回しながら声を上げる。
「男子のみんな、ごめんねぇ。
サプライズのはずだったけど、
私うっかり口が滑って、女子ももうみんな知ってるのよ。
だぁかぁらぁ、もう気合い入ってるぞぉ!」
「さぁ、バイブスあげていくよぁー!
告白たぁーーーいむ!!!」
「ふぅー!ー!ー!ー!ー!」
「やぁー!ー!ー!ー!ー!」
ヤンやヤンやの拍手で、参加者全員奇声を上げる。
「では、MC晴子が進行していきますねッ!よしくぅ!」
ぱちパチぱちパチぱちーーーーー。
男子と女子は、それぞれ固まって左右に分かれ、
その間の空間に晴子は陣取る。
薄暗い水族館の中。
背景にはクラゲの水槽がキラキラ。
「さぁ、トップバッターは、
ちゃんとやることやってる、浅野くーーーん!」
すでに赤ら顔の浅野くんが中央に出る。
「何だよぉ、やることやってるってぇ。」
「みんな浅野くんの味方だよぉ。」
女子からヤジが飛ぶ。
「では、浅野くん、よろぉ!」
浅野くんは、斉藤さんの前に立った。
静まりかえる一同。
浅野くんに、水槽の照明が漏れて、マダラ模様のスポットライトのよう。
幻想的な雰囲気に固唾を呑む一同。
「、、、、斉藤 瑠奈さん、
この間、夜、一緒に歩いて、
優しい斉藤さんが好きになりました。」
「ひやぁーーーー」
「ぅわぁぁぁ」
湧き上がる一同。
ずっと顔が上げられない斉藤さん。
「しぃーーー、みんな、静かに。浅野くん、どーぞ。」
「斉藤さん、僕と付き合ってください。」
腕を伸ばし、斉藤さんを迎え入れたく手のひらを示す。
斉藤さんの手がゆっくりと近づいて、
「私も好きです。よろこんで。」
「きゅぁーーーー!」
「まぁじ、まぁじ、やばぁ!」
どっっかーーーんと盛り上がる。
「ルナル、よかったね。」
「浅野なーーいす!」
湧き上がる拍手の中、
見つめ合い、手を取り合ったままの二人は、
急に我に帰って手を離す。
斉藤さんは、また前を見れなくなって顔を下す。
「おめでとう!瑠奈。おめでとう!浅野くん。
、、、、では、この調子で、次いきますよぉ。」
「次も期待の星!マーくん!どーぞ。」
マーくんこと長崎 真斗(ながさき まさと)は、
照れ隠し笑いをしながら、中央へ。
緊張感のないマーくんに対して、
一人緊張していた高井 舞子(たかい まいこ)。
マーくんは女子のまとまりの方へ近づき、
男子間の打ち合わせ通り、
六野 美唯(ろくの みゆ)の前で立ち止まる。
そして手を伸ばしたところで、
「ぇ、ぇぇぇぇ、、、、。」
小声でざわめく女子一同。
異様な雰囲気に、出そうとした言葉を止めるマーくん。
一度、伸ばした手を戻すマーくん。
再び、手を挙げようとした、その時。
「ちょっと待った。」
高井ちゃんの小さな声。
「!?」
マーくんは停止。
「ちょっと待ったあ!!!」
今度は大きな声の高井ちゃんは、前に出る。
「えっっ、何!」
混乱しているマーくん。
「ちょっ、ちょっと待ったぁ!!」
今度は男子側から、佐藤くんが手を上げる。
中央で、4人が対峙する、修羅場的状況。
興奮高ぶっている佐藤くん。
涙目になっている高井ちゃん。
愛想笑いのマーくん。
ニコニコ冷静に周囲を見ている六ちゃん。
MC晴子は、どーする!?
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