第10話
「うぉーーーーー!すっげぇーーーーー!」
「うわぁ!まじぃ!すごすぎぃ!」
「うわぁーーーーわぉ!やっばぁ!」
「やばい!やばい!やばい!」
スマホを向けて、画像も動画も撮りまくり。
イルカのショーは想像以上!
音楽に合わせて、泳ぐ、飛ぶ。
こんなに高くジャンプするんだぁ!
「きゃぁ!」
「ぅうわ!」
水飛沫がかかる。
6対6の水族館デート、盛り上がってます。
どーも。高井 舞子(たかい まいこ)です。
高2の夏休みを満喫しています。
イルカの後、順路に従い、みんなで水槽を巡る。
マーくん「チンアナゴだ!チンアナゴだ!チンアナゴだ!チンアナゴだ!」
「チンチン言うなぁ!」
突っ込む私。
マーくん「チンチンはダメだよ、高井ちゃん。」
冷静に、ワザと感情を押し殺した一言。
「お前が言うなぁ!相変わらずガキだな、もう高2なんだよ、マーくん。」
私はマーくんの頭をポンポンする。
六野 美唯(ろくの みゆ)「舞子とマーくんって、幼馴染なんだっけ?」
私とマーくんの返事が重なる。
「ちがーう!」
「かぶるな!」
また、重なった。
ハハハハハハハハ!
一同の笑い。
吉本 悟史(よしもと さとし)「実は双子の兄妹の漫才コンビか?」
「違うよ。小学1年からの付き合いだけど、」
私の発言の途中でマーくんが割り込む。
マーくん「えー!俺たち付き合ってるのぉ?」
ポコっとマーくんの頭を叩いて、
「言葉のアヤでしょ。付き合っていないでしょ!」
「てか、知り合って長いけど幼馴染ってほどじゃないでしょ。」
ツボにハマったか、手を叩いて笑う椋ちゃん。
椋尾 多花音(むくお たかね)「ウケる!ウケる!もう2人付き合っちゃいなよ!」
六野 美唯(ろくの みゆ)「お似合い、お似合い!」
六(ロク)ちゃんも、手を叩いて囃し立てる。
佐藤 亮介(さとう りょうすけ)「もうやめろよ。2人が嫌がってるぞ。」
「べぇつに、」
2人の声がまた重なる。
「またハモったぁ!」
キャハハハハハハハハ!
佐藤「うわっ!やばぃ!でっかい水槽!」
坂口 武佐士(さかぐち むさし)「イワシだよ、これ、美味しそうー」
霞 晴子(かすみ はるこ)「水族館で美味しそう、は、ないでしょ。
アカデミックなんだよ。ここは。」
浅野 翔吾(あさの しょうご)「蒲焼きかなー。」
斉藤 瑠奈(さいとう るな)「美味しそう。」
中原 日向(なかはら ひなた)「梅干し入れて煮付けにしても美味いのよ。」
六野「それ好き!」
晴子「わ!私は塩焼き!!」
武佐士「それ!それ!」
木下 富嶽(きのした ふがく)「、、、、でも、今、地震が来て、ガラスが割れたらヤバイね。」
3階建てのビルの高さくらいあるでっかい水槽は、
見方によっては、ちょっと恐怖ね、確かに。
佐藤「こわ!そんなこと考えたら、やばいじゃん!
次行こ、次!」
「き、れーーーーー。」
でも、私は、イワシのトルネードに見惚れて、
水槽に張り付いていた。
みんなは、次に進んだ様で、静かになっていた、、、、。
かと思ったら、もうひとり残っていた。
「ぅゎ、ぅゎ、ゎ、ぅわ!」
小声の興奮と共に水槽に見惚れていたのは、マーくんだった。
「高井ちゃんも、やっぱり好きだよね。」
「え!」
「小学校の遠足の時も、ここで止まって動かなかった。」
そういえば、小学校の時にも来ている。
ちょっと記憶が曖昧だが、確かにこのイワシの水槽はお気に入りだった。
あーーーーーー!
思い出した。あの遠足の時、
マーくんは私に告白した!!!!!!
確か、ずーっと好きでした、みたいな。
キャーーーーー!
思い出した。私も好きです、って答えたよ!小3の私!
こいつも覚えてるのかな。
はずい!はずい!急に恥ずかしくなった。
マーくんの視線が気になる私。
「なにニヤニヤしてんだよ、スケベ!」
「えぇ!?ふふっ。何が!?」
こいつ、覚えているな。とぼけやがって!
なんか、恥ずかしい。
「次行くよ、ほら、みんな待ってるよ!」
私はマーくんの背中を押す。
薄暗いフロアで良かった。
きっと私の顔は赤くなっている。
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