第8話
「さあ、ヤローども、明日はいよいよ水族館だ。」
男子高校生6人が集まって、合コン前日の打ち合わせ。
合コン、とは言っても、
今回は初顔合わせではなく、全員クラスメートの仲だ。
だから、終了後にも気まずい思いはしないように、
1人の女の子にも恥をかかせることがないように、
忖度の上に忖度を重ねる会議だ。
男子どもは、そうすることでうまくいく、と思っていた。
マーくん「じゃあ、告白タイムでの指名相手を
あらかじめ決めておこう、てことだね。」
武佐士(むさし)「そう、指名されない女の子を作らないように。
これはあくまでゲームみたいなものなんだから。
夏の思い出作りの一環だから。」
吉本(よしもと)「で、どうやって決める?
公平にあみだくじ?」
佐藤(さとう)「待って、趣旨はわかったけど、
僕はどーーーしても指名したい子がいる。」
武佐士「そうだね、せっかくのチャンスだから、利用したい人は、
しっかり利用したらいいよ。」
マーくん「で、誰?」
佐藤「高井(たかい)さん。」
マーくん「ちょっと待ったぁ。俺も高井ちゃんがいい。
一番かわいい高井ちゃん。」
木下(きのした)「えーーー。一番かわいいのは霞(かすみ)さんでしょ。」
浅野(あさの)「霞さんは性格がキツイから俺はダメだぁ。」
佐藤「高井さんは性格もかわいい!」
マーくん「性格は六ちゃんが一番!六野(ろくの)さん。」
木下「いやいやいや、性格美人は中原(なかはら)さんでしょ。」
武佐士「中原さんは、一歩下がって男を立てるタイプだね。」
吉本「じゃあ、俺は椋ちゃん、椋尾(むくお)さん。
額のホクロが色っぽい。」
浅野「僕は斉藤(さいとう)さんがいい。ショートヘアーがすっごい似合ってる。」
マーくん「大体出揃ったな。
ちょっとまとめてみよう。」
マーくん「斉藤さんは、、、」
浅野「僕!」
マーくん「斉藤さんは浅野っと。」
全員「異議なーーーし。」
マーくん「椋尾さんは、、、、吉本?」
吉本「オール、ラァイ!」
マーくん「中原さんは、、、、」
木下「俺いくーーー。」
なぜか皆が木下を注目。皆、ニタニタといやらしい笑顔。
木下「何?」
マーくん「わかるよぉ、木のしぃ。」
吉本「羨ましい!木下。」
木下「何?何?」
浅野「Hかな?Gかな?癒されるよなーーー。」
木下「お前らアホか。俺はあの優しい丸顔が好きなんだよ。」
マーくん「いいんだよ、いいんだよ、素直になれよ。」
木下「もういいよ、次、次!」
佐藤「、、、、で、高井さんはー?」
マーくん「佐藤いきなよ。」
佐藤「えっ、いいの?」
マーくん「オイラは六ちゃんでいくよ。」
佐藤「ほんとにいいの?」
マーくん「六ちゃん、素直でいい子だよ。妹にしたいタイプだな。
てなわけで、高井ちゃんは佐藤で。」
武佐士「マーくんって、前々から高井さんだったんじゃないの?
高井さんとよく一緒にいるじゃん。」
マーくん「うん、でも実は、今、1組にちょっと気になる子がいて。
だから高井ちゃんは佐藤で。」
佐藤「ありがとう、この御恩は一生忘れません。」
マーくん「忘れていいけど、今度ジュース奢れ。」
佐藤「了解!!」
マーくん「じゃあ、後は、霞ちゃんは武佐士で。」
武佐士「オウケィ!」
マーくん「なー、武佐士と霞ちゃんって、できてるんじゃないの?」
武佐士「なにそれ!?違うよ。」
吉本「でも、前の日曜日、2人で水族館行ったんでしょ。」
武佐士「行ったよ。でもあくまで明日の合コンのための下見だから。」
吉本「わざわざ2人で下見行こう、てのが、そもそも怪しい。」
浅野「怪しい、怪しい。何かあったんじゃないの!?」
武佐士「何かって、なんだよ?」
浅野「水族館だぞ。薄暗い中で、
手を繋いだ、とか、ぎゅーって抱き合った、とか、」
吉本「チューしたとか!?」
武佐士「無い無い!」
吉本「でも、霞さんって、元彼と全て経験済みだよね、多分。」
マーくん「そんな感じ。」
浅野「きっとそうだ。だから、ハードル低いかも。」
マーくん「武佐士、いやらしぃ!!」
武佐士「違うよ。彼女はそんなんじゃないよ。」
マーくん「武佐士ならやれるよ。」
武佐士「だから、彼女はそんな軽い子じゃないよ。」
吉本「そうか、武佐士は本気なんだな。」
武佐士「それも違うよー。《たぶん。》」
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