第4話

「ねぇ、次の日曜日の水族館下見の日は、駅集合で良い?」

私は、ちょっとだけ浮かれていた。

これはデートと言ってもいいよね。

もしかしたら、この後、付き合うことになっちゃうかもね。


ところが、武佐士の返事は、ちょっとつれない。

「いや、現地集合でいい?12時でどう?

午前中、予定があるんだ。

後、夕方からバイト入っているので、

16時解散で良い?」


「えーーー。行くからには、しっかり下見しようよ。

午前の予定はなんとかならないの?」


「ごめん、予備校なんだ。」


「えーーー。まだ高2なのに。医学部でも受けるつもり?」


「いや、建築だけど。

普通に理工系の建築科なら特別なことしなくてもいいんだけど。

芸大の建築科も考えている。

それだと石膏デッサンとかの実技試験があるんだ。

お絵描きの予備校だよ。」


「そうなんだ、知らなかった。

じゃあ、水族館行くの、無理していない?」


「大丈夫、俺が行きたいから行くんだよ。

晴子さんとのデートだもん。」


そんなこと、さらっと言うなんて、ズルい。

私の性格からして、

深い意味なく、話の流れのノリで言っても問題ないと、

そう思っての発言なんだろうけど。

こんなにも私は動揺しているのに、

そんな笑顔で微笑むなんて、ズルいよ。


「じゃあ、それで行こう。

12時に水族館で。」

私の声はうわずってなかったかな?








あーーー。とうとう明日になっちゃった。

学校以外で2人だけは、初めてだよ。

そう、あと、制服以外で会うのも初めて!だよ。

どうしよう!何着て行こう!?

水族館では、思ったより短い時間しかないけれど、

私は思っていることを言ってもいいのかな。

告白してもいいのかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る