第3話

霞 晴子です。

失恋からは、すっかり立ち直った、はずの今日この頃。


高2の夏、もうすぐ夏休み、というタイミング。

定期試験も終わって、まったりした空気が流れている。


今日は、また佐藤くんグループとお弁当食べている。


佐藤くんは、ちょっと前から、彼女ほしい病、だ。

「なー、高2の夏ってラストチャンスだと思わない!?」


「そーかなぁ、年末にはクリスマスがあるし、

年が開ければバレンタインもあるし。」

マーくんは軽く答える。


「それは、夏に仲良くなるなり、

目星をつけるなりした彼女がいるから成り立つイベントでしょ。」

佐藤くんは続ける。

「それに、俺は、夏の恋!がしたいんだよ。

来年の夏は、きっと受験が最優先になるだろうし。

海でもプールでもいいけど、デートがしたいんだよ。」


「それ、したいだけでしょ。

欲望丸出しでは、女の子は逃げていくよ。」


「霞さんが言うと説得力あるよなー。」


「でもさ、高校生のうちにファーストキスぐらい経験しておきたいよ。」

佐藤くんの本音が出た。

恋に恋する乙女と同じだな。


「謙虚で良いね。よし、わかった。

女子は声かけておくから、みんなで遊びに行こう。

幹事は霞晴子に任せて!」







「女子6人、男子6人、これ以上増えると、

面倒くさいことになりそうだから、もう締め切るね。」


「晴子さん、幹事役お疲れ様です。」

武佐士は、アルバイト始めてから、挨拶がわりに、お疲れ様、と言う。

まあ、悪い気はしないけど。

ちょっと、先に大人になってしまった感じで、ちょっとだけ悔しい。


「でも、佐藤くん、納得するかな。

女子は、みんな、水着は嫌、って。」


「贅沢言うな、って言っておくよ。」


「で、みんなの第一希望は水族館。私も水族館がいいと思う。」


「いいんじゃない。エアコン効いて涼しいだろうし。」


「屋外のイルカプールとかもあるけどね。」


「イルカかぁ。俺は小学校以来だ。楽しみだな。」


「じゃあ、みんなへ最終確認のメッセージ入れておくね。」








「みんなからOKの確認取れたよ。チケットの手配も任された。」

武佐士に進捗状況の報告。


誰かが言うまでもなく、男子側の幹事役をしてくれている武佐士。

「スマホで手配できるんだっけ。」


「そう、この間、問い合わせ入れたら、クーポンもゲットした。

カップルだと超割安になるクーポン。

だから、カップル1組と高校生10人で合計12人分手配するよ。」


、、、、、、。


「入力完了。確認のメールも、、、、きた。」


「、、、、あれ。」


「どうした?」


「日にち間違えた。

カップルの分、一週間早かった。」


「えー。そうか。でも一旦キャンセルできるんじゃないの?」


「わからない、でももう決済済みで、お金が落ちている。」


「そっか、じゃあ、俺が買い取って俺の両親に使わせるよ。

2人の馴れ初めも水族館だって言ってたから、喜ぶよ。」


「それは、悪いよ、それに高校生カップル限定だもん。」


「そっか、親父とお袋では無理か。」


「私の方でなんとかする。」


「当てがあるの?」


「うーん、、、、《美乃花と健太郎は、、、》。」


「じゃあ、俺と晴子さんで半分ずつして、2人で下見に行こう。

本番の日には、みんなに存分に楽しんでもらえるように。」


「それも悪いよ!」


「晴子さんは俺と2人では嫌なの?」


「そんなことはないけど、、、。」


「じゃあ、決まり。当日の2人分追加しておいて。

今度は日付間違えるなよ。」


「うん、ごめんね、武佐士ありがとう。」

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