先輩と後輩

「先輩!!先輩の持久走のタイムってどれくらいなんですか?」


弓道部の村井が矢拭き中の先輩に尋ねた。


「タイム的には前の方かな」


「何秒なんですか?」


「二年で一番早い宇佐美って知ってるか?そいつのタイムと結構近いんだぞ」


「で、何秒なんですか?」


「・・・」


先輩はなかなかタイムを言おうとしない。


「中西先輩、安藤先輩のタイムって何秒なんですか?」


「ひかのタイムは・・・」


「ストップ、ストップ!!」


先輩は中西先輩の話を遮る。

額には汗を浮かべていた。


「いいか、人にはなぁ、どうしても知られたくないことだってあるんだ。だからこの話は深掘りしちゃあいけないよ。」


「それじゃあ、何秒なんですか?」


「おい、後輩よ俺の話聞いてたか?」


「聞いてましたよ」


「じゃあ、なんで、いや、もういいわ。お前のタイム教えてくれたら答えてやるよ。お前は何秒なんだ?」


先輩の問いに対して一呼吸置いてから答える。


「一年で一番早い桑田ってやつのタイムと割と近いんですよ。」


続く

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