第4話 何かやらかした?

月曜日 午前8時


いつもこの時間帯に学校に着く。基本誰もいない、基本はな。

3階に教室があるがあるので、少し重い脚で階段を登った。


教室に着いて扉を開けると、真ん中の席に座っている、

あの名作〈1984〉を読書している奴がいた。


「おはよう、和真。」俺は元気に挨拶をする。


「おはよう、京介。」彼も元気に挨拶を返してきた。


こいつは 丹後和真 小学校からの大の仲だ。短髪で目が少し細い、やせ型で身長は俺よりも少し上だ、168㎝ぐらいだと思う。


「昨日何してたんだ?」和真に問う 目と目が絡み合う


「昨日は仲間たちと一緒に中国・韓国大使館を街宣車を使って猛抗議したんだよ。」

言い忘れてた、こいつはかなりの右翼で、反日どもを成敗するらしい、知らんけど。だが社会に関しては人一倍知識が豊富で、小晴よりもそれに関しては上回っている。


「っでお前こそ昨日何してたんだ?」当たり前の事を聞かれる。


「昨日はローソンでアルバイトしてたんよ、そしたらな、小晴が現れた。」

和真は少し驚いたような顔から一気に興味が湧いてきた。


「それで、この後の展開は?(ワクワク)」なんだか楽しそうだな


「えっとねえ、俺の存在に気付いておにぎりとコーラを買ったんだよ。」


「へーー、あっ、そういえば今日小晴の表彰式があるぞ。」


「まじで?そんな話聞いてなかったな。」


「金曜日の帰りの会聞いてなかったのか?それは兎も角、ちゃんと話は聞いておくんだぞ。」 まるで先生から説教を喰らう言いぶりで、言われた。


「わかったよ、でもちゃんとニキビ野郎の話は聞いとくよ。」


ニキビ野郎とは例の女の事だ、分かってるはずだろ?


「おいおい、そう言うなって クスクス」


「今まで表彰台の前で立って『みなさん、ありがとうございます!これもみんなやお世話になってくれた人たちのおかげです!テヘペロ☆』をずっと合言葉みたいに言ってさ、ロボットみたいだよな、よく操り人形と話せたものだな。」  実際にはテヘペロとは一言も言っていない。


「お前それは言い過ぎだって(大笑い)」


二人とも大笑いをしてしまった。教室から出てきた愚痴と陰口の周波数は全体に響いたかもしれない…


京介がいる1-2組の教室扉の横で、スクールバックの紐を下に持ち、顔も下に向いていて、なんと哀れな目から水分とタンパク質やナトリウムなどの混合物がポタポタと床に湿っていた。声も口から漏れる。彼女は膝から崩れ落ち、喪失感と船が沈んだような、あるいは屍の顔をしていた。

        

         心が脆いのか?このクソ小娘が

―――――――――――――――――――――――――――――――――

午前11時30分   放課後 住宅街


今日はラッキーなことに、授業が午前中に終わり、早く学校から出られることができた。しかし、今日は小晴の様子が変だった、いつもは能天気な顔なのに今日はやけに無機質な顔、死んだような少し赤い目、口がポカーンと開いていた…一体どうしちまったんだ?


それは兎も角、雲行きが怪しい、如何にもすぐに雨が降りそうだ。

何か重い音がした。後ろを振り替えてみると、小晴らしき人物がこちらに接近してきた。


「なあ小晴、お前————」その瞬間、左頬っぺたに手のひらが飛んできて首が急速に横方向に曲がった。かなりいい音がしたが…痛いじゃないか、頬っぺたが赤くなっていることを確信する。小晴の右手が赤く染まっているからだ。つまり、ビンタされたのだ。


「ねぇ、酷いよ京介くん…なんで、なんで!?」


「何のことかな?」 今度は右ほっぺたにもう一発喰らった。辺り一面響く音がした。手の形でも残ってるだろうな。


「ふざけないでよ!!なんであんな酷いことが言えるの!?廊下で全部聞いたよ…私をニキビ野郎だとか、ロボットだとか、操り人形だとか、本当に胸が痛かった、傷ついた…大泣きしたよ。」


彼女はどうしようもないことを延々と続けている中、頭上に水滴ができた。ザーっという猛烈な雨が今降ってきた。畜生めぇ…

それでもお構いなしに、戯言を吐き捨てる。


「ずっと親とみんなに期待されて、失敗したら許されない雰囲気になって、もう嫌なの、、、でも、私にとっての心のより所は…京介くんなの、、、京介くんがいてくれたから、ずっと我慢できた…それなのになんで?なんで?なんで!?…ねぇ…」


ズボ濡れになった両手で俺の肩をつかみ、頭を少し下げた。

すすり泣きを始めたようだ、さっさとこの地獄から解放してくれ、

ハレルーヤ! 


「すまない、俺が悪かった…もう二度とそんな事は言わない。」

罪悪感がある格好のふりをして、謝罪した。


「うん…もう二度とそんな言わないでね…約束ね…」


「ああ、約束する」 する訳がない


「じゃ…また明日ね、京介くん…」気色悪い涙目で返答された。


「ああ、また明日。」


小晴は豪雨の中、真反対の方向に向かって帰宅しに行った。


意外と泣いてる姿の小晴ってかわいいな。


自分は家の方向に歩き出した。

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