第七話 天井知らずの爆食ハーレム師匠
何があったのかは知っているが、波道が神玉に対してやけに積極的だ。
昼食は一緒に食べ、帰宅も一緒にする。
まさにラブコメである。
アイツはああでもしないと逃げるからな。
さてと、俺も帰るとするか。帰って新作のラノベ『え!?あなたまだ自分をヒロインだと思ってたんですか!?』を読まなくてはならないのだ。サークルも休みだしな。
…と、いきたかったのだが
「なぁ分かるか土暮真!俺がアイツにハーレムというものを教えてやったんだぜ!?俺にもちょっとくらいおこぼれがあってもいいのでは!?」
俺は何故か現在、ファミレスで愚痴を聞いている。
俺の目の前に座る男は頼んだカレーをかきこんで食っている。カレーは飲み物とはまさにこの事だ。
「晴夢星蔵は俺を師匠って呼んでるけどさ!俺ヤルどころか付き合った事も無いんだぜ!?本当にアイツにハーレムの素晴らしさを少し語ってあげただけなんだよ!」
「お前、ここファミレスだぞ」
コイツの名前は
三作目『ハーレム作って何が悪い!!!』の友人…いや師匠キャラだ。
主人公である晴夢星蔵がハーレム思考となったのはこの男が当時ボッチだった晴夢にハーレム系のラノベを薦める際にハーレムの良さを語ったせいである。
それ以来、晴夢は南灯を師匠と呼び慕っており、彼女が増えた際は必ずコイツに報告するという鬼畜の所業を行なっている。
ちなみに俺は南灯とラノベ好きという共通点で仲良くなった。
「ほーん、じゃあその素晴らしさを是非教えてもらいたいね。」
「あぁ、いいだろう。といってもハーレムにも様々な種類がある。好意は寄せられているが誰とも付き合っていないハーレム状態、全員と付き合っているハーレム状態、一人と付き合っているにも関わらず虎視眈々と奪う機会を狙ってくるハーレム状態、全員と裏で付き合っているハーレム状態など挙げればキリがない!」
「そだな、あっ、ポテト食うか?」
「いただきます。で、だ。アイツに教えてやったのは全員と付き合っているハーレム状態。このタイプは素晴らしい。全員が合意の上で付き合ってくれるのだからな。エロゲだったらグループセックスになるに決まってる」
ここファミレスだっつってんだろ
だが実際『ハーレム作って何が悪い!!!』は名前の通りハーレムエンドしか存在しない。
攻略人数はシリーズ最多の十二人でエッチシーンの数がマジで半端ない。
3pから12pまであらゆるヒロインのあらゆるシチュエーションが用意されている。よくあんなに絵を描いたよ原画家さんも。
「アイツ、今日の昼『彼女が三人になりましたよ師匠!』って報告してきたんだぜ!?しかも相手は
頼んでいたハンバーグ定食をかきこむ南灯。
どういう事だと思われるかもしれないが、マジでアニメみたいにハンバーグ定食をかきこんでいるのだ。それ以外の表現が見当たらない。
というかもう核林を落としたのか。流石はハーレム主人公
「しかももう次の狙いをつけてやがるんだぜ?もう良いじゃん、十分じゃん、堪能しろよ!!」
「あっ、もう?ちなみに誰狙うか知ってんの?」
「あぁ、二年の
えっ、マジか。この時期に唐切にいっちゃうのか。核林落としちゃったのに?
それ大丈夫か?………いや、俺が気にする事じゃないな。俺はあくまで土暮真だ。
「何故だ、何故奴のばかりには美少女しか集まらない…!?いやというかこの学園自体顔面偏差値があまりにも高すぎる!なのに!俺には浮いた話が一つも来ねぇ!!何故だ!?」
「お待たせしました。こちら、イチゴパフェです」
「あっ、ありがとうございます」
良かったな、品が来るのは早いぞ
「いやちょっと待て、そもそも一夫多妻制でもないこの国でハーレムを作るっておかしくないか?なんで彼女達もそれを認めちゃってるんだ…?」
「師匠が言っちゃうんだそれ」
「師匠じゃねぇ!!」
イチゴパフェをかきこむ南灯。
よく食うなコイツ。
「俺は別に奴にハーレムへの道なんか教えた覚えはねぇ!!それなのになぜ!あんなに奴はうまくいくんだ羨ましい!!顔か…顔なのか…!?」
確かに晴夢は顔が良いが、モテる理由なんて一つしかないだろう。
エロゲ主人公だからだこん畜生
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