第2話 彼女の記憶

 ………………ここは?………………


 不思議な部屋だな。


【気がついたか。あの状況でよく寝られたな】


そうか、夢ではないのか。


 ほんと、この人綺麗だよな。何で剣士やってんだろ?他になりたいもの無かったのかな?


【お前、さっきから話さないが、話せないのか?それとも私の言語が解らないのか?それにしても助けてもらってお礼くらい…】


そうだ!!助けてもらって、


えっと、声?話せないぞ!!


声!!声!!声!!


何でだよ!!


【落ち着け!!大丈夫だ。説明する】


 この女剣士、俺を正面から抱きしめて、落ち着かせる…


不思議だ、すーと気持ちが落ち着く。


俺と同じくらいの、いや少し年上…



近いな…キス出来そうな距離感だ。



【ここに来る前に爺さんにあっただろ?】


爺さん?爺さん?


あっ!!そんなことあったような。


あの爺さんに蹴られて、ムカついてきた!!


【グレーだったのか…仕方ないな。だいたいそんなもんだ、最初は。ここは過去に滅びた地球だ。お前からすれば未来だけどな】


 未来の地球か…………………って、そんなの信じられるかーい!!


【見た目では解らないもんだな…お前みたいのが何の能力持ってるんだか…いずれ解るにせよ、ある程度、戦闘力あげてもらわないと】


戦闘力?俺が?この世界で?


その女剣士は、クスッと笑って、


【あー、そんなことある訳無いだろ!!私の空想を語って信じてくれたのは嬉しいけどな。さっきの模擬練習だよ。悪かったな】


もう何も解らない、何も信じられない…


 この世界は何なんだ?明らかにあのジジイ…失礼…爺さんに会ってからおかしくなってる。


【目醒める前だよな、ここに来たってことは。未知の能力か。凄いな、見た目は貧弱なのに…】


凄いのは、あなたの…その…なんつーか…


鎖帷子脱いだら、こんなにも素敵なのか?


話し方は雑だし、座り方も。


【お前、さっきからどこ見てる?ん?あっ!!てめー!!こんな場所でそういう気持ちになるっておかしいだろ!!】


はい…おっしゃる通り…


俺はよからぬ事考えている。


だって…




スーパーどストライクなんだもーん!!!!!




【ふー、その露骨に見る度胸。それが能力か?あのさ、私ってそんなに魅力ある?怒らないから正直に…】



言葉が話せないなら、ここは、


勇気をだして、


※ギュー!!!※



やっぱ、結構大きいや。



【な、な、何してんだよ。抱きつけなんて言ってないじゃん。やめてよ。ねっ、落ち着いて】



あれ?話し方変わった?



そう言えば、名前も聞いてない。



【私は記憶がないの…】



何?



【あのお爺さんに会う前の記憶は何も無いの】



俺は…あー、何となく覚えてる。



彼女は元から記憶喪失ってことなのか。






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