第15話 修羅場回避

 「あなた達、更沙とどういった関係?」


 くるみんが白雪さん達に対して、あまり好意的ではない言い方で質問をした。白雪さん達はピシッと人形のように動かなくなった。


 「神楽くんとの関係……?」


 そんな中、白雪さんが悩むような動作をして、「う〜ん」とか言っている。この動作を見たら、この世界のほとんどの男子は心を撃ち抜かれるだろう。だが! 僕は一味違うのだ。可愛いという感情を押し殺して、「いや……これはただ悩んでいるときに出す一般的な動作だ」と考える。


 「神楽との関係かぁ……」


 ここはバシッと言ってほしかったな神崎さん。

 神崎さんも白雪さんとシンクロして、悩んでいる動作をする。仲良しだな。


 「白雪さんと神崎さんはただの友達だぞ」


 さすが空気の読める僕! このままだと一向に飯が食えないので、パッと僕が結論を出してあげたのだ!


 「へぇ〜」


 「お前が質問したんだから、もっと興味持てよ」


 なんで質問した本人が「ふぅ〜ん」とか興味が無さそうに返事するんだ。

 そんなことよりクラスのみんなはもう食べ始めてるし、そろそろ飯が食いてぇ。


 「もういいから早く食べようぜ……僕お腹空いてるんだけど」


 「そうだね〜!」


 僕の一声で、固まったままの白雪さん達も席に着いて、お弁当を食べ始めた。

 くるみんは相変わらず「美味しい〜!!」とか言って楽しそうに食べてる。チラッと白雪さん達の方を見ると、ご飯を食べては入るものの、若干固まっている。


 「(ただの友達……)」


 「(友達……)」


 白雪さんと神崎さんが固まっている中、葵は黙って僕の卵焼きを奪っていった。

 

 「卵焼きもらうね〜」


 「取る前に言うんだよそれ」


 事後報告はいらないです。

 すると、なんか視線がするなぁ……と思って、くるみんの方を見てみたらジィー……と僕の残りの卵焼きを見つめていた。

 

 「ほしいのか? 卵焼き」


 「くれるの!?」


 まだあげるとは言ってない。


 「お前の唐揚げと交換だ」


 「そんなのでいいならどうぞどうぞ!」


 そう言うとくるみんは、サッと卵焼きを取って、自分の唐揚げを僕のお弁当箱に入れた。食いしん坊めが。


 「はぁ……更沙の卵焼き……」


 「お前……随分変態になったんだな」


 僕の言葉をスルーして、くるみんは僕の卵焼きをパクッと一口で食べた。

 卵焼き一つにそんな命を懸けるみたいに食べなくても……。


 「更沙ってこんな味なんだね……」


 「僕を食べているわけではないだろうに」


 *くるみんは新しい性癖に目覚めた! やめてほしい。

 元の純潔なくるみんに戻ってほしい



 

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