第2話 放課後+告白=ラブコメ展開

 放課後。

 帰宅部や、用事のある者はそそくさと下校し、部活などがある者は部活への不満や

 意気込みを話しながら移動する。で、照明が消えて夕日で照らされる教室。

 実際はまだ教室に人が残っていたら照明はついているし、残ってる人も

 先生と会話している人が多い。これが現実。

 

 今はまだ5月だから、窓から入ってくる風が涼しい。

 僕は基本的に放課後は教室に残る側だ。別に先生に質問があるわけではない。

 かといって勉強をするわけでもない。僕はただボーッと涼しい風を感じているだけでいい。家に帰っても義妹がうるさいだけだしね。


 「ねぇ帰らないの?」


 「なんでいるんだ……」

 

 僕の優雅な時間をぶち壊すように教室に侵入してきたのは、

 案の定白雪さんだった。


 「義妹さんのお世話があるんでしょ? なら早く帰りなよ

 それとも私に時間を使いたくなくて言い訳に使ったの?」

 

 ジトーっと目を細めてこちらを見てくる白雪さん。

 やっぱり勘の良い白雪さんは嫌いだよ。

 

 「まぁ……そんな感じかな」

 

 嘘ついてもどうせバレると思って、正直に話すことにした。

 

 「いい度胸ね、私のお誘いをそんな理由で断るだなんて」

 

 「君は何様のつもりなんだ?」

 

 「容姿淡麗、頭脳明晰、完璧超人のつもり」


 「二つ目だけ間違ってるぞ」

 

 「失礼ね……」


 白雪さん……あなた毎回小テストでボロボロになっているのよ?

 

 「まぁいいわ……それより神楽くん」

 

 「何でしょう」

 

 「ちょっと面貸しなさい」

 

 僕の机にバンッと手を置いて、すごい目つきで僕のことを睨む白雪さん。

 えっグレた?

 

 「ちょっと待っててください」


 「逃げようたってそうはいかないわよ! ほらドアの方を見てみなさい」

 

 言われたとおりにドアの方を見てみると、なにやら神崎さんと西宮が

 待機しているではありませんか。

 

 「逃げないですよ……ちょっと遺書を書こうと」

 

 「別に殺さないよ……」

 

 移動中に背後から刺されることを予想してたんだけど。

 

 「先生助けてください」


 「急に先生に振るんじゃないよ」

 

 なにやら教卓に頬杖をついて僕たちをニヤニヤと眺めている先公がいたので

 無理やり会話に参加させてやったぜ。

 

 「先生、生徒の命の危険っすよ」

 

 「どこにそんな危険があるんだ」

 

 僕は静かに白雪さんの方を指さした。

 

 「なんてことするんだ君は」

 

 先生にツッコまれてしまった。 

 一生の不覚!!

 

 「そこまで危険人物にしようものなら本当に殺るわよ」

 

 「だって先生、これ殺害予告ですよね」

 

 「白雪、早く神楽を連れてけ」 

 

 「はい!」

 

 ガシッと腕を掴まれた。あっ力つんよい。

 待てよ? このまま抵抗したら……腕千切られる!!

 

 「はぁ……わかったから腕離して」

 

 「いやよ」

 

 「こっち見るな神楽」

 

 先生が敵になっちゃった!

 

 「はいはい、行けば良いんでしょ行けば」

 

 「はい、よろしい」


 そのまま僕は腕を引っ張られて教室を出ていった。

 なぜかボディガードのように神埼さんと西宮に囲まれながら。

 こんなことなら早く帰ればよかった(泣)

 

 

 移動すること数分。

 僕は刺されないかずっと神埼さんと西宮のことを見ていた。

 そしてようやく白雪さんの足が止まった。

 

 「早く入りなさい」


 連れてかれたのは旧校舎にある空き教室。

 命の危険を感じる。

 

 「なんでこんなところに……やっぱり遺書を書かせてください」

 

 「被害妄想が激しいね」

 

 急に神埼さんが喋った。移動中まったく喋らなかったのに。

 

 「あと神楽お前、移動中私の胸見すぎだろ」

 

 胸?

 

 「自意識過剰……」 

 

 僕が胸なんか見たかと思い返していると、今度は西宮が口を開いた。

 なんかとんでもないことを言い出したような。

 

 「はぁ? 実際に見てただろうが」

 

 「更沙くんは希の胸なんか見てない」

 

 西宮の言う通り、どうして僕がラブコメ的存在の人の身体を

 見なくてはならんのだ。

 

 「見てたのは私の胸よ」 

 

 (゚∀゚)

 

 「葵こそ自意識過剰だろ……だってお前胸無いじゃん」

 

 なんでそういう事言うの。

 

 「希だって萌音より小さいじゃん!」


 「それはしょうがないだろ! 萌音はEカップなんだから!」

 

 勝手にサイズ暴露されてて草。

 

 「二人共……」

 

 「あっ! 希のせいで萌音が泣いちゃった」

 

 「なんでだよ! あっもしかしてカップ数言っちゃったからか!?」

 

 それしか無いだろうね。

 

 「それ以上言わないで……///」

 

 お顔が真っ赤なこと。

 もう僕帰っていいかな。今なら帰れる気がする。

 

 「神楽くん、私の前に立って、逃げないでね?」


 思考盗聴でもされてるのだろうか。

 

 「なにかわからなけど早くしてくれよ」

 

 僕が白雪さんの前に立つと、神埼さんと西宮は後ろに下がっていった。

 三大美女の中で白雪さんがリーダー格なのかな。

 

 「ふぅ……神楽くん」

 

 「はい」

 

 「言うわよ?」

 

 「どうぞ」


 「本当に言うわよ?」


 「早く言いなさいよ」

 

 「本当の本当に言っちゃうわよ?」

 

 「なんでここまで来て言わんの?」

 

 「……じゃあ言うね」

 

 延ばしすぎだろ。そんなに言いにくいことか?

 ズボンのチャックは閉まってるぞ。

 

 「神楽くん……私はあなたのことがずっと好きでした!」

 

 ん?

 

 「私と付き合ってくださいっ!!」

 

 

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