ベガ

 トーンタンタン、カタンカタン。

 ザァーザァー。


 機織り機の音と大河の流れる音が聞こえる。


 髪を地面まで垂らした女がひたすらに機織をする音だけが響く川棚の楼閣。

 部屋の中には機織り機以外には蝋燭しかない。


 大河のど真ん中の建造物はこの周りの水が引くのを今か今かと待ち望んでいた。


「…九十九」


 カタンという音がなり、布が織り終わる。


「あと一つね…」


 そう言いながら長髪の少女は立ち上がり、部屋の片隅の水じかけに近づき時間を確認すると、棚の一番上から一際大きな布を取り出し、機織り機に掛ける。


「百」


 カタン。


 サアアアアアア


 機織り機の音とともに楼閣を囲む大河も一瞬にして消え失せ、見渡す限りの平原が出現した。



 その平原のど真ん中に設けられた会席。座布団は二つある。

 その中の1つに長髪の少女”織女”がきれいな身のこなしでちょこんと座る。



 もう現れることのない”牽牛”の帰りをじっと待ちながら




 永遠に

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