キラーとの戦闘

「絶対に……生き残る!」




 天音は二丁の拳銃の銃口をキラーに向ける。


 そして引き金を引き、炎の弾丸を放つ。


 弾丸はキラーの右腕を撃ち抜き、跡形もなく燃やし、消滅させた。




「攻撃が効いた!?」




 まさかキラーの硬い身体を撃ち抜き、そして消滅させるとは思わなかった天音は驚愕する。


 そんな彼女にキラーは拳を放つ。


 音速を超えた速度で迫りくるキラーの拳。


 それを天音は紙一重で躱す。




「すごい……反応できる!」


「オマエ…強クナッタ…危険……殺ス」




 キラーは双眸を怪しく光らせて、回し蹴りを天音の腹に叩き込む。


 しかし天音は死ななかった。


 なぜなら二丁の拳銃で攻撃を防いだから。




『甘口さん!』


「分かってる!」




 天音は銃口をキラーに向け、炎の弾丸を連射。


 襲い掛かる無数の弾丸をキラーは躱し、距離を取った。


 そして口を大きく開けて、白い光線を放射する。




「躱せない!」


『俺に任せてください!』




 二丁の拳銃から声が聞こえた。


 その直後、二丁の拳銃が合体し、大きなライフルへと変わる。




「これって!」


『甘口さん!光線に向かって撃ってください!』


「分かった!」




 甘口天音はライフルを構え、引き金を引いた。


 次の瞬間、ライフルの銃口から炎の鳥の形をした弾丸が放たれた。


 その弾丸は光線を吹き飛ばしながら飛ぶ。


 そして炎の鳥はキラーの左腕を貫き、跡形もなく燃やす。


 両腕を失ったキラーは呆然とする。




「嵐くん……こんなこともできるんだね」


『俺は強化した相手のサポートもできるんです。それより甘口さん。あのキラー……まだなにかするようです』




 翼の言葉を聞いて、天音は警戒する。




「……人間ガココマデ私ヲ追イ詰メルトハ……思ワナカッタ。人間……名前ハナンテ言ウノ」


「……甘口天音」


「天音……覚エタ。私ハ『ニーナ』。ヨロシク。ソシテ……サヨナラ」




 その言葉を告げたキラー、ニーナは一瞬で天音の懐に入った。


 そして天音に向かって踵落としを放つ。




「!」




 天音は迫りくる踵落としを躱す。


 踵落としは地面に接触した。


 その直後、地面が大きく陥没。


 周りにあったいくつものビルが倒壊していく。




『なんつーパワー!』


「なんかさっきよりも強くなってる!?」


『さっきまで本気じゃなかったんですよ!』




 ニーナは怒涛の連続蹴りを放つ。


 嵐の如く迫りくる蹴りを天音はギリギリのところで躱す。


 蹴りの風圧でいくつものビルが吹き飛ぶ。




「このままじゃあ街が!」


『どうすれば』




 なんとか勝つ方法を考えていた。


 その時、




「パパ~、ママ~」




 女の子の声が聞こえた。


 天音は声が聞こえた方向に視線を向け、目を見開く。


 視線の先にいたのは泣いている小さな女の子。


 そんな小さな女の子をニーナは見て、




「ウルサイ。邪魔」




 虫を殺すかのような感じで蹴りを放つ。


 鋭く、そして速い蹴りが女の子の命を奪おうとする。


 刹那、




「させない!」




 天音はニーナと女の子の間に高速移動する。


 そしてキラーの蹴りをライフルで防ぐ。


 大きな衝撃音と衝撃波が発生し、火花が飛び散る。




「許さない……こんな小さな女の子を殺そうとするなんて」


「人間ハ……殺ス。ソレダケ」


「そっか……分かった!」




 天音はライフルでニーナを殴り、吹き飛ばす。




「なら私は君を倒しちゃうからね!」




 天音の怒りに反応して、彼女の炎のコートと炎の左目が激しく燃える。




「嵐くん!もっと強い武器になる事ってできる?」


『できますけど、一発しか撃てませんよ?』


「一発で十分だよ」


『……分かりました』




 天音の想いに応えるために翼はなる。最強の武器に。


 ライフルは光り出し、変形を始めた。


 数秒後、ライフルは弓矢へと変わっていた。


 その弓矢はとても大きく、そして炎の如く赤い。




『サポートします』


「ありがとう」




 天音は足に力を入れ、弓矢を構えた。


 矢は激しく燃え上がる。


 狙うはキラーのニーナ。




「終わりだよ」




 そう言って天音は矢を放った。


 その矢は大きな炎の鳥となり、ニーナに襲い掛かる。


 ニーナは危険を感じ、迫りくる巨大炎鳥から逃げる。


 しかし炎鳥は逃がさない。


 激しく燃える巨大炎鳥はニーナを追いかける。


 そして、




「ア……コレハダメダ」




 炎の巨大鳥はニーナに直撃。


 その直後、爆発が起こった。


 爆発が止むころにはニーナの姿は無かった。




「倒した……のかな?」


『そうですね。やりましたよ、俺達』


「そっか~……よかった~」




 天音は地面に座り込んだ。


 とてつもない疲労感が彼女を襲う。




「なんとか倒せた~……これも嵐くんの……翼くんのおかげだね」


『いえ……そんな』


「でも、どうしよう。これ……絶対に大事になるよ」


『そうですね。街にキラーが現れましたからね』


「いや……そっちじゃなくて」


『ん?』


「君のことだよ。翼くん」


『……え?』




 なんで自分のことなのか……翼はこの時、分からなかった。

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