第四小隊
「ハァ…ハァ……お、終わった……」
一時間ぐらいかけて部屋の掃除を終えた翼。
床にはゴミ一つなく、机や壁には汚れ一つない。
「おお~翼、掃除できたのね」
パチパチと拍手するルル。
彼女はなに一つ手伝っていない。
「家事はよくやっていたからな」
「女子力が高い」
「それは……褒めてるのか?」
翼が複雑な感情を抱いていた時、部屋の扉が開いた。
「うわ~綺麗になってる!」
「本当ね~。綺麗にね~」
背の小さいピンク髪の少女と車椅子に乗った金髪の少女が部屋に入ってきた。
「ルル、この二人は?」
「第四小隊の子達よ」
「へぇ~。あ、初めまして。翼と言います」
とりあえず翼は二人に自己紹介をした。
「初めまして!私は
甘口天音はとても元気な女の子。
笑顔が可愛らしく、ツインテールにしたピンク髪もまた可愛い。
「よろしく甘口ちゃん」
「翼。天音は中学生か小学生にしか見えないけど、歳は二十歳よ」
「え?」
まさか年上だと知り、翼は目を丸くする。
「今後は私の番ね~。私は青葉ローズよ~。よろしくね~」
青葉ローズは金色の髪にウェーブをかけており、蒼い瞳はサファイアの如く美しい。
そしてとてもおっとりしており、見ているだけで心が安らぐ。
いいとこのお嬢様にも見える。
「趣味はギャンブル~。そして好きなものは煙草とお酒~」
「……」
見た目と違い、趣味と好きなものがおっさんのようなため、翼はコメントしずらかった。
「すみません。年齢を聞いても?」
「十七歳だよ~」
「未成年じゃないですか!」
「大丈夫~……ここでは見逃してくれるの~」
「なにが大丈夫なんですか!アウトですよそれ!めっちゃアウト!」
騎士団の闇の部分を知り、翼は頬を引き攣った。
というより青葉が未成年だというのに煙草と酒をしているということに引いた。
「こんな感じよ」
「こんな感じって……なんというか……すごいな。この小隊」
「まぁ私達はもしもの時のための小隊だから。基本雑用ね」
「そうなのか。だから俺はこの小隊に来たのか」
「それは……その」
「ん?」
ルルが顔を逸らして、髪の毛をいじり始めた。
よく見れば少し顔が赤い。
「どうした?」
「嵐くん。知らないから教えるけど、最初は嵐くんの面倒を見るのは別の小隊だったの」
天音の言葉を聞いて、翼は「え?」と声を漏らす。
「でもね。ルルちゃんがどうしても嵐くんの面倒を見たいって団長に言ったの」
「そう……なのか?なんで」
翼は問い掛けるが、ルルは答えない。
それどころか目を合わせようとしない。
そんな彼女に疑問を抱き、翼は首を傾げる。
「ふふ~、ルルったら可愛い~」
「そうだね」
「う、うるさいわよ!ローズ、天音!」
クスクスと笑うローズと天音にルルは怒る。
「もう!次は訓練所に行くわよ!」
「え、ちょ!」
ルルは翼の手を引っ張り、部屋から出た。
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