ルル
窓から差し込む太陽の光。
その光が翼を目覚めようとさせる。
「ん……もう朝か」
翼はベットから起き上がろうとした。
その時、
むに。
柔らかい何かが右手から感じた。
「ん?なん……だ?」
右手に当たっている者がなにか気になった翼は、視線を向け、言葉を失う。
「……え?」
彼の視界に映ったのは、褐色肌の少女。
長く、そして艶のある黒髪。
スイカ並みの大きな胸。
そして美しい顔と長いまつげ。
どういうわけか絶世の美少女が……翼のベットにいた。しかも服を着ていない。
「……ちょっと待て」
指で目頭をほぐし、思考する。
(なんで朝起きたら女の子がいるんだ?しかも裸で。こんなアニメのような展開……マジであるんだな)
とりあえず胸から手を離そうとした時、
「ん……んん……」
少女はゆっくり瞼を開けた。
「……おはよう」
「お、おはようございます」
「……なんで私のおっぱいを掴んでいるの?」
「す、すみません」
少女の胸から手を離した時、翼はベットから落ち、床に頭をぶつける。
強い衝撃を受け、翼は頭を押さえてうずくまる。
「大丈夫?」
「大丈夫……です。っていうか誰ですかあなたは!?」
「誰って……昨日、会ったでしょう」
「え?会いましたっけ?」
「私よ。ロボットよ」
「ロボット……ああ、あの時の!」
ロボットという言葉で翼は思い出した。
どうやら目の前にいる少女は翼を助けた女性型巨大ロボットのようだ。
まさかこんな美人があのロボットだったとは思わなかった彼は驚いていた。
「あの時は助けてくれてありがとうございます」
「それはこっちの台詞よ。あの時、君に助けてもらわなかったら死んでいたわ。本当にありがとう。そういえば自己紹介がまだだったわね。私はルル。よろしく」
ルルと名乗る少女は手を差し伸ばした。
翼は握手し、「嵐翼です。よろしくお願いします」と名乗った。
「ところで……一つ聞いても?」
「なにかしら?」
「なんで……裸なんです?」
「私、裸じゃないと寝れないの」
「見られて恥ずかしくないんですか?」
「あなたになら見られてもいいわ」
「……なんでこの部屋にいるんですか?」
「あなたがいるから」
「他には?」
「ないわ」
「そうですか……」
「そうよ」
「……」
「……」
翼は本気で頭を抱えた。
意味が分からなかった。
というかルルという少女が意味不明すぎて、翼は頭が混乱しそうになって―――、
「嵐翼。起きているかい?」
最悪なタイミングで鐘子が部屋に入ってきた。
鐘子は翼とルルを見て、黙り込む。
何とも言えない空気が流れ、翼は顔から大量の汗を流す。
「……すまない。また後で来るよ」
「待ってください!誤解です!!」
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