第4話 入学初日 ③
次。入学式。これも特に問題なし。
強いて言うなら腰が少し痛くなったくらいだ。
なんとか待ち時間を乗り越えた僕は、入学式に参加し晴れて学園の生徒となった。
あの騒ぎを起こした生徒はどうなったのだろう…?
まぁそんなことは僕に関係ない。
忘れよう。
あの後、僕たち新入生は、これまた豪華で千人は余裕で入れるような巨大な講堂に案内され、入学式が執り行われた。
式では新入生代表やら担当教師やら色々なお偉いさんやらの挨拶があった。
内容は…
入学おめでとう。これから君たちは――
我が学園は―――
特に面白味のないありきたりな内容だった。
だがそんな中、唯一印象に残っているのは生徒会長だ。
学園の三年生の女子生徒で、才色兼備のまさにエリート!!って感じの人だった。
その自慢の、腰まではあるだろう漆黒の長い髪をなびかせながら登壇したときは、僕の眠気も覚めた。
ああいう立場の人はもっとふんぞり返ってるイメージを勝手に持っていたが、その考えは改めないといけないかもしれない。
会長さんはそんなことはなく、終始優しくお淑やかな雰囲気を纏い話を終えた。
登壇し、その完璧な容姿を露にしたときは周りの男子生徒のみならず女子生徒までも感嘆の声を上げていた。
「あれが噂の…」
「なんてお美しい方なんでしょう!」
そんな呟きがあちこちで聞こえ、講堂内が少しざわついた。
たぶん他の人とは違った理由で、誰も話の内容は覚えていないだろう。
完璧な容姿、学園トップの成績と実績、それでいて人当たりが良く謙虚な姿勢。
そしてなりよりも人の目を奪う存在感。
なるほど、ああいう人が世の中を動かして行くんだろうなぁ。
僕はおそらく周りの人たちとは異なった感想を抱く。
そして生徒会長の話が終わり、それはもう盛大な拍手が講堂に響き渡った後、式の最後に話をするのは―――
学園長だ。
ここで、僕たち新入生にとって大きな分かれ道となる学園長のお話。
長い間椅子に座っていた僕たちは座ってるのも疲れたし、話を聞くこと自体飽きてきた。
そんな中始まる最後の挨拶。
そう、話が長いのか短いのか。
世の中の校長や学園長は、ふたつのタイプに分けられる。
まず一つ、自分なんかが長話をするのもあれだからと言って、さっさと終わらせるタイプ。
生徒からの好感度が高い。
そして二つ目、「私から皆さんに言いたい事は一つだけです。」とか言っておいて、五個くらいは話し始め結局めちゃくちゃ話すタイプ。
典型的かつ、もっとも生徒の精神を削る。
さぁ、どっちがくる?!
僕たちの運命の分かれ道を前にゴクリと唾を飲む。
講堂の多くの生徒が壇上に注目し、現れたのは―――
いかにも学園長!って感じの60代くらいの白髪のおじいさん。
なんというかちょっと押したら倒れてしまいそうな、細身で気迫のない人だ。
それを見て僕は、、
(まずいか?…いや人を見た目で判断するのは良くない)
そう希望を込め、耳を傾け聞こえてきたのは―――
「えぇ、皆さんこんにちは。まずは入学おめでとう。この学園の学園長、ロバートです。そうですねぇ、」
あ、嫌な流れ。
「私から皆さんにお伝えしたいことは一つだけです。」
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