第13話

「どうも判然としませんで…」と医者。

「毒のようでもあるのですが、今までに、治療したことの無いもののようで…」

「それで?治せそうか?」とシオン。

「はい。幸いにも、命取りになるような代物ではなかったのか、あるいは分量が少なかったのかもしれませぬ」

「わかった」シオンが悩んでいるのは、これを陛下に報告するかどうかだ。

 伝えようによっては、私まで疑われる。それだけは、避けたい。

 とりあえず、医者には口止めをしておいたが、すぐに、噂が広まることは間違いない。

 侍女には、指輪の一つでも握らせておこう。


 シオンは、結局先手を打つことにした。

 皇帝にお目通りを願い出る。

 昨晩も、”お楽しみ”だったようで、寝間着がはだけている状態で、皇帝は現れた。

「陛下、ご報告が」

「うむ、何だ」

「こちらを、ご覧ください」

「!?ドラゴンの牙か?」

「おそらくは…」

 そして、シオンは、今のシュンジュの状態を伝える。

 皇帝は、眉をひそめた。

「では、ドラゴンの牙も、不老不死の効能はないのか」落胆を隠せない皇帝だった。

 シオンは答えようもなく、うつむいている他なかった。


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ドラゴンの牙 抜いときました あしはらあだこ @ashiharaadako

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