第6話 朝のルーティン

「クワァ…ぁ。よく寝た。」


キールは昨日の試合で痛めた体を無理矢理起こして素振りをしに着替えて木刀を持っていく。

そこに、ララとグレイがいた。ララは俺を見て、拳を突き出し言った。


ろう?」

「いつから俺は戦闘民族になったの?」

「昨日の時点でお前もう戦闘民族だろ。」


ダメだまともな奴がいない…(※コイツもマトモじゃない。)

そこでグレイが話しかけてきた。


「お前昨日の思考加速もっかいできる?」

「思考加速?」

「なんか戦ってる途中動きがゆっくりに見えなかった?」

「ああ、見えた見えた。」

「あれが思考加速。あれもっかい使える?」

「うーんとね……多分……いや、…うん、行ける。」

「うし、じゃあお前の素振りは今日から思考加速乗せながらにしな。剣筋がよく見えるようになるから。」

「りょーかい。」

「ララは一緒に魔力制御の練習しよっか。」

「うん!」


ここで俺は思った。あれ?出発日なんじゃないの?今日。聞いてみるか。


「今日って出発日なんじゃないの?」

「いや、俺がお前らに朝やる訓練メニューを叩き込んでから出発しようと思ってて。」

「あ、なるほどね。じゃあさっさとやってくる。」

「ほいほーい。」


そこで俺は思考加速を乗せた素振りを始める。

まず、目を閉じて深呼吸。


「スー…ハー…。」


そんで、周りを音とかで感じ取りながら目を開けてよく視る・・


すると、急激に周りの動きが遅れてくる。そしてよく見ながら剣を振る。


ビュンッ


風がでた。

いつもよりもキレがいい。ああ、やっぱりこれ絶好調の時みたいな感覚だな。ちょっとコツ掴んできたかも。昔、俺に剣を教えてくれていた師範が言ってた気がする。


「素振りとは、剣を振る行為のことを言うのではなく、目の前のものを切り裂くことを言うのだ。」


その時は何言ってんだこのジジイって思ったけど今ならわかる。

なんというか、目の前にある空間を面として捉えて切ってるイメージ。

いや説明むずいな。でもとにかく、感じがよくなる。そんな感じだ。これを繰り返すことで常に思考加速ができるようになるんだとか。俺にはまだ想像がつかない。


(まあ今は練習あるのみか。)


そう思い、俺はまた素振りに集中し始めた。


〜〜

私は今グレイから魔力制御について習っている。なんか、私は魔力の量が多いらしい。

ちょっと難しい話でよく分からなかったけどとにかくそれは強みらしくて私は嬉しい。これで強くなるための道のりを進められる。

グレイ曰く私は


「魔力の制御が雑すぎる。あと力が最も入りやすい角度とか、そこらへんも教えてくけどまずは魔力制御。ララの魔力がマジで勿体無い。」


とのこと。

こーゆー細かいところではキールに負けているらしい。悔しい。

魔力を制御するには魔力のカタチ・・・を細かく理解しなければならないらしい。そうすると、後ろからの奇襲とかにも魔力で感知できるらしい。(もちろん全てではないが。)

ということで、瞑想をはじめた。グレイは、


「目を閉じて、肌とかの感覚は全部捨てて、自分の体に流れる血をまず見る。その次に血と共に流れる何か・・・を感じられるようにする。それに慣れていけば魔力を完全に理解できるようになるよ。今のララは魔力の構造を微妙に理解してる感じだから。」


と言っていた。

そして、今目を瞑って瞑想を始めているけど全然分からない。なんというか、体の肌の内側になにか流れている感じがするけど体の内部には繋がってない。血と一緒に流れてるはずなんだけどなぁ…。お腹あたりに感覚を集めてみよっかな?

…ああ、それかな?確かに全身に行き渡ってるかも。

でもなんか変な感じがするなぁ。なんというか、心臓の動きに合わせて魔力も動いてるのにお腹あたりが中心に魔力が生み出されてる感じがする。

心臓の動きを早くしたらどうなるのかな?

…いや心臓ってどう動かせばいいんだろ。

うーん…。

あっ、魔力を早く動かせばいいのかな?

集中。


「フーーッ」


もっと、集中。


「スーッ…ハー…。」


心臓の音が大きく聞こえる。

感じがいい。

いつもより、頭が冴えてる気がする。なんというか、晴れている。

もっと集中したらどうなるんだろ。やってみよ…。


〜〜

2人ともやっぱり飲み込みが早い。こりゃほっといても大丈夫だな。

そう思った俺は早々に2人の教育を放置して噴水前のベンチに座り昨日2人の訓練の後に買った『武術の教え』という本を開いた。

なぜかというと少し調べたかったことがあったからだ。

キールとグレイは強い。それこそ世界の強さランキング上位千人ぐらいには入るだろう。ただその世界上位の実力者たちが俺の生まれた時代に存在した『武』を纏っていなかったのである。

いや、ララもキールも纏ってはいたが無意識下であった。

そこから俺はある仮説を立てた。もしかしてこの時代では『武』がまだ確認されていないのでは?と。

そのため、図書館の本を読み漁ったのだがギリギリ最後の1冊が読めずに閉館時間になってしまったので最後の1冊を買ってきたのだ。

そして今読んでるんだが…やはり仮説は正しそうだな。

この時代には『武』がまだ認知されていないんだ。

武を纏うと体が結界のような物に護られるようになり、そのうえで頑丈になる。また、魔力と混ぜて使うことで技の威力も上げられる。

俺は昔から魔法はダメで武だけが上達したったんだっけな…。

ただ、武にも魔力とは違う特性がある。それは、魔力は本人の気力とは関係なく扱えるのだが武は気力そのものがエネルギーとして還元されるため本人の気力に左右されやすいというところだ。

この特性は長所でもあり、短所でもある。

1流であれば精神が安定しており問題ないのだがララのようなまだ精神が不安定な者だと扱いにくいのだ。

キールは俺との最初の戦い以降精神は安定してるっぽいけどなぁ…。

まあララも明確な目標とか敗北とかの経験を積めば成長するかな?

もう1時間くらいたったしそろそろ旅の支度するように言うか。

そう思い、俺は外にあったベンチから立ち上がり歩き出した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

まだキャラの書き方が安定しない…。やはり小説を書くのは難しい…。というか全然話が進まないなぁ。次回からは魔の森に行くので多分冒険が始められる…はず。

旅の仲間全員が集まるタイミングが遅れて行く…。10月中にもう1人出す予定だったのにぃ…。

読んでくれている方はこれからもご愛読と応援してくれるとありがたいです!

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